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はくがん
ふりがな文庫
“
白眼
(
はくがん
)” の例文
その頃
雜誌
(
ざつし
)
「
青鞜
(
せいたう
)
」は
生
(
うま
)
れ、
新
(
あたら
)
しい女といふことが
大分
(
だいぶ
)
やかましくなつてまゐりました。けれど私達は初めからそれを
白眼
(
はくがん
)
でみました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
その面を魯粛は「
度
(
ど
)
し
難
(
がた
)
き大将」と
蔑
(
さげす
)
むように睨みつけていた。その
爛
(
らん
)
たる
白眼
(
はくがん
)
にも刻々と生暖かい風はつよく吹きつのってくる。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その淋しがり屋の友達好きが、何故に孤独の穀の中に
潜
(
ひそ
)
まって、世間を
白眼
(
はくがん
)
で見なければならなかったか。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
功成り名遂げて
身
(
み
)
退
(
しりぞ
)
くと云つたやうな大きい滿足を感じてゐると同時に、退いた後の世間に對しては、乃ち
白眼
(
はくがん
)
を以て此れを看る、極めて冷靜な唯我主義の態度を取つて居る人だ。
新帰朝者日記 拾遺
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
父に別れてからは周囲は他人ばかりで、唯一の肉親である兄が却って
白眼
(
はくがん
)
で見るのだ。只一人の同情者も持たない彼が、童心を
苛
(
さい
)
なまれ、蝕ばまれて行った事がはっきり分るのだ。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
そういう境地に
韜晦
(
とうかい
)
して、
白眼
(
はくがん
)
を以て世間を見下すという態度には出でなかった。南朝の詩でも朗吟すれば維新の志士のおもかげすらあった。それが『蒲団』を書いた花袋である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
社会は、この最も弱いものを同情するよりは、しばしば一種の
白眼
(
はくがん
)
を
以
(
も
)
ってみる。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
ブウシエを
哂
(
わら
)
つて俗漢と
做
(
な
)
す。
豈
(
あに
)
敢
(
あへ
)
て難しとせんや。
遮莫
(
さもあらばあれ
)
千年の
後
(
のち
)
、天下
靡然
(
びぜん
)
としてブウシエの
見
(
けん
)
に
赴
(
おもむ
)
く事無しと云ふ可らず。
白眼
(
はくがん
)
当世に
傲
(
おご
)
り、
長嘯
(
ちやうせう
)
後代を待つ、
亦
(
また
)
是
(
これ
)
鬼窟裡
(
きくつり
)
の生計のみ。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
反身
(
そりみ
)
になって、往還の士農工商どもを
白眼
(
はくがん
)
に見ながら通って来たものですが、山登りにかけては、あんまり自信が無いと見えて、もうそろそろ、体が
屈
(
かが
)
み、腰が
歪
(
ゆが
)
み、息ぎれが目に見え出してくる。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
已
(
や
)
むなくて、
白眼
(
はくがん
)
に世を見下げたる
冷
(
ひや
)
き夢の
中
(
なか
)
に
住
(
ぢゆう
)
して
白鳥
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
「この婆は冷酷な婆だな。」と
白眼
(
はくがん
)
で睨んでやった!
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大坂方とくさいという徳川家一般の者の
白眼
(
はくがん
)
が——それに耐えている数正の胸中が——伝右衛門には人ごとならず察しられていた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
始からその冷然とした態度に
中
(
あ
)
てられて、さつきの不安を今更のやうに又新にしたが、独り其角が妙に
擽
(
くすぐ
)
つたい顔をしてゐたのは、どこまでも
白眼
(
はくがん
)
で押し通さうとする東花坊のこの性行上の習気を
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いきなり、
死首
(
しにくび
)
の歯から、孫兵衛がグッとそれを引ッたくったので、周馬は重さにのめりながら、すばやく、
白眼
(
はくがん
)
にお十夜の手もとを見つけて
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
睨
(
にら
)
み返されたのは、さもあるはずでしたが、それにしても一瞬浪人の
白眼
(
はくがん
)
が、あまりといえば凄い目であった。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
菊池半助は、勝負なしのものわかれに、
無念
(
むねん
)
そうな
白眼
(
はくがん
)
を相手に投げ、そうほう、
無言
(
むごん
)
のままにらみわかれた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脇息
(
きょうそく
)
とともに仰むけに身をそらし、もの凄い
家鳴
(
やな
)
りにゆれる天井を、
白眼
(
はくがん
)
で見つめていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
踏んでも踏んでも
拉
(
ひし
)
げない御小人の藤吉郎頃から、近年にいたっては、重臣の自分らと肩をならべ出して来た彼の器量にたいし、
白眼
(
はくがん
)
、常にゆるがせには
視
(
み
)
ていなかったのだ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だのに、その数正の近ごろの
憔悴
(
しょうすい
)
は、はた目に見るもあわれなほど、頬骨たかくやつれていた。しかし家中一般の
白眼
(
はくがん
)
は、伝右衛門以外、たれもそれを、あわれもののふとは見なかった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主命とあって、
近習
(
きんじゅう
)
でも飛びかかって来たら、一
喝
(
かつ
)
して
退
(
しりぞ
)
けてしまうつもりであろう、鋭い
白眼
(
はくがん
)
が、じっと一同を
睨
(
ね
)
めつけた。他ならぬ千坂兵部である。誰も、手を出すことはしなかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“白眼”の意味
《名詞》
眼球の白い部分。
気に入らない人を見る冷たい目付き。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
“白眼”で始まる語句
白眼付
白眼勝
白眼看
白眼視
白眼看他世上人