父様とっさま)” の例文
旧字:父樣
お前はちいさい時分から小三郎に許嫁をしたもの故、お父様とっさまが浪人しても、忰の方へお前を貰おうと、其の相談もしたいと思って居ったが
その、誰にも言うな、と堅く口留くちどめをされた斉之助せいのすけという小児こどもが、(父様とっさま野良のらへ行って、穴のない天保銭てんぽうせんをドシコと背負しょって帰らしたよ。)
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此のうちを出ては死んだ父様とっさまのお位牌に済みません、おえいの気に入らなければわしを亭主と思わねえでも宜うがんす、又母様かゝさまも子と思わず
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
父様とっさまにも御機嫌宜しゅう、わたくし都度々々つど/\書面を差上げたき心得ではございまするが、何分旅先の事ゆえ思うようにはお便たよりも致しがた
岡ッ引に頼まねえで詮索をした処から遅くなっちまって、たなへも済まなく成ったのですが、お父様とっさまを殺した野郎は分りましたか
右「えゝ、あのお坊様ぼっちゃまでございますか、お父様とっさまによく似ていらっしゃいます、わたくしは右内でございますが、あなたは御存じございますまいなア」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
し新聞にでも出されては私アうがんすが、あなたはお父様とっさまへ御不孝になりやんすから、そんな事の無い内に私アけえります
当年十二歳に相成るおいさと云う孝行な娘でございますから、お父様とっさまなさけない事をなさる、と発明な性質ゆえ、袖を噛んで泣き倒れて居ります。
長「それ見ろ、お父様とっさま御覧遊ばせ、此の通りだ粘りが有ります此の糊で附着くっつけてごまかそうとは太い奴では有りませんか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山「お父様とっさまえ、貴方も水司又市を捜す身の上と仰しゃいましたが、何故なぜあなたは水司又市に似た様な名をお附け遊ばした」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
清「お父様とっさまがお帰りだよ、おや/\あなたお一人でいけないからお手伝いがりましたか、いぬしゝでも打ちましたか」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴女あなたが御無事でお帰りかとあとで大きにお案じ申しました、あれから直ぐにお帰りでしたか、へー此方こなたがお父様とっさまでございますか、初めてお目に懸りました
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
露「いゝえ、お父様とっさまわたくしが悪いのでございます、どうぞ私をお斬り遊ばして、新三郎様をばお助け下さいまし」
生嘘なまぞらつかって我をだましたな、内にうやって置く奴じゃアねえぞ、お父様とっさま御死去ごしきょに成った時、幾度いくたび手紙を出しても一通の返事もよこさぬくらいな人でなし
町「お父様とっさま、先程の文治郎様が今の人達を連れ出してくださいましたとの事、お礼を仰しゃいまし」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
繼「はい此処こゝにおいでなさいますお方様が、私が転びまして、もう殺されるばかりの処へ助太刀をなすって下すったので、何卒どうぞ此のお方様にお父様とっさまお礼を仰しゃって」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
船の胴のへ落ちたのはお父様とっさまのお死骸でございましたが、御浪人なすって入っしゃるからお屋敷へ知らせる事も出来ませんから、何うしたら宜かろうと心配のうえ
繼「これ又市見忘れはすまい、お繼だ、よくも私のお父様とっさまを薪割で打殺して本堂の縁の下へ隠し、あまつさ継母まゝはゝを連れて立退たちのき、また其の前に私を殺そうとして追掛おっかけたな」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「はい、お父様とっさま、あの皿を今一応お検めを願います、野菊と白菊と両様共りょうようともお検めを願います」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
父様とっさまはあの通りお聞入れはないが、わたくしの帰ったあとで能くお父様と御相談なさいよ、お父様がいやと仰しゃっても貴女あなたがおいでなさると云えば、お父様のお眼も癒るから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はい只どうもね魂消たまげてばいいます、お前も知っている通りちいせえ時分から親孝行で父様とっさまアとは違って道楽もぶたなえ、こんな堅い人はなえ、小前こまえの者にもなさけを掛けて親切にする
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もうしお父様とっさま、おなさけない事になりました、うみの親より深い御恩を受けました上、ういう事になりましたもわたくし思召おぼしめしての事でございますから、皆様みなさんどうぞ代りに私を殺して
なにを存じてろうが、お父様とっさまがお逝去かくれ前からある大白月毛おおしろつきげの馬、れは歳をっては居るが、癖のないい馬で、あれを遣ろう、荒くらずに歳をとって居るからいたわって乗るよう
惣次郎は麹屋の亭主を呼んで、是は定めし出の宜しい者だろうと聞合せますと、元は谷出羽守たにでわのかみ様の御家来で、神崎定右衞門かんざきさだえもんという人の子で、お父様とっさまと一緒に浪人して此の水街道を通り
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「いや面目ないが、実は此の皿を毀したのはお父様とっさま、此の長助でございます」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
泣かねえがえと云うに、いつでも父様とっさま母様かゝさまの事を聞かれると宗觀さんすぐに泣き出すだ、親孝行な事だが、出家になるのは其処そこを諦める為だから泣くなと和尚様がよくいわっしゃるが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
筆「えゝれではお父様とっさまは剃髪して廻国にでもおいでになりましたか」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「父様とっさまはえ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)