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しゃれもの
ふりがな文庫
“
洒落者
(
しゃれもの
)” の例文
溝
(
みぞ
)
の底の汚泥を
掴
(
つか
)
み出すのは世態に通じたもののすることでは無い、と天明度の
洒落者
(
しゃれもの
)
の山東京伝は
曰
(
い
)
ったが、秀吉も
流石
(
さすが
)
に洒落者だ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鵠沼でもその浜はブルジョワ地帯で、青年も令嬢たちも
粒選
(
つぶよ
)
りの
洒落者
(
しゃれもの
)
揃いだったが、その中でも志津子の美しさは群を抜いているので
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
袖口だけに
刺繍
(
ぬい
)
のある
裾短
(
すそみじ
)
かな
繍
(
ぬい
)
の
上
(
う
)
わ
着
(
ぎ
)
、
洒落者
(
しゃれもの
)
とみえて、
黒紗
(
くろしゃ
)
の
卍頭巾
(
まんじずきん
)
には、
紅紐
(
べにひも
)
で
結
(
ゆ
)
ッた
髷
(
まげ
)
が紅花みたいに透いてみえる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『よいか、萬一の時は鼻だけでも構わぬぞ、命はあっても鼻無しにされたら、あの
洒落者
(
しゃれもの
)
は必ず陣を引いて逃げるであろう』
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「その便のいいところが、老人には何よりさ、お酒の通いもちょこちょこというやつがばかに気に入ったねえ、お前さんも
洒落者
(
しゃれもの
)
でうれしいよ」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
気取った結び方をした
襟飾
(
えりかざ
)
り、ポケットの中にしのばした
棍棒
(
こんぼう
)
、ボタンの穴にさした一輪の花、そういうのがこの人殺しの
洒落者
(
しゃれもの
)
の姿であった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
あんな
洒落者
(
しゃれもの
)
が、死顔を見ると
不精髯
(
ぶしょうひげ
)
だらけ、その上、白髪染が流れ落ちて、
小鬢
(
こびん
)
が真っ白だ——四十になったばかりの孫右衛門さんに白髪があろうとは
銭形平次捕物控:074 二度死んだ男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なかなかの
洒落者
(
しゃれもの
)
である僕は着物を奪われてしまったかと思うと泣きたくなるのであった。が泣く間もなく、パンの棒を小脇に抱えた妻がマメイドに続いて現れ
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
そうかと思うと白の
帆木綿
(
ほもめん
)
に黒い
縁
(
ふち
)
をとって胸の真中に花文字を、同じ色に縫いつけた
洒落者
(
しゃれもの
)
もある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その頃
何処
(
どこ
)
かの
洒落者
(
しゃれもの
)
の
悪戯
(
いたずら
)
であろう、椿岳の
潤筆料
(
じゅんぴつりょう
)
五厘以上と
吹聴
(
ふいちょう
)
した。すると何処からか聞きつけて「
伯父
(
おじ
)
さん、絵を描いておくれ」と五厘を持って来る児供があった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
年ごろ二十四五の、色の白い眼の細い
頭髪
(
かみ
)
を油で
綺麗
(
きれい
)
に分けた、なかなかの
洒落者
(
しゃれもの
)
である。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
今度東京へ出て来て直次の養母などに逢って見ると、あの年をとっても髪のかたちを気にするようなおばあさんまでが恐ろしい
洒落者
(
しゃれもの
)
に見えた。
皆
(
みんな
)
、化物だと、おげんは考えた。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
永遠の
洒落者
(
しゃれもの
)
め。君はまだホラチウスの書なぞを読んで世を
嘲
(
あざけ
)
っているのかい。僕が物に感じるのを見て、君は同じように感じると見せて好くも僕を
欺
(
だま
)
したな。君はあの時何といった。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
往年予西インド諸島で集めた
介殻
(
かいがら
)
を調べくれたリンネ学会員ウィルフレッド・マーク・ウェッブ氏の『衣装の伝統』(一九一二年板)に、
洒落者
(
しゃれもの
)
をコックス・コームと呼んだ訳を述べある。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼らは決して、世の常の
洒落者
(
しゃれもの
)
やおめかしやでなく、むしろ概してその反対であるけれども、その心の中の鏡に映して、常にイメージしている自分の姿は、永遠の美少年でありたいのである。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
もう一人のスタアレット氏はずっと若い
洒落者
(
しゃれもの
)
だった。冬は暗緑色のオオヴァ・コートに赤い
襟巻
(
えりまき
)
などを巻きつけて来た。この人はタウンゼンド氏に比べると、時々は新刊書も
覗
(
のぞ
)
いて見るらしい。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
姐
(
ねえ
)
さん、おめえ、なかなか
洒落者
(
しゃれもの
)
だの」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
身装
(
みなり
)
などは
関
(
かま
)
わない豪傑ふうなことを常にいっているが、彼は実はなかなか
洒落者
(
しゃれもの
)
で、非常に
見得
(
みえ
)
をかざる
質
(
たち
)
だった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ボーマルシェーの
洒落者
(
しゃれもの
)
の天使とエゼキエルの恐るべき天使とを混同すべからざることを、教えてやったであろう。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
これが
洒落者
(
しゃれもの
)
ならば、なるほど、与八ならば据わりがいい——と交ぜっ返したくなるような頼みなのですが、頼む方も、頼まれる方も、最もしんみりしたものなのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのラツァロネ(ナポリの乞食)を組合盗賊と言い、そのコクニー(ロンドンっ児)を
洒落者
(
しゃれもの
)
と言う。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
男は
洒落者
(
しゃれもの
)
ごのみな
頭巾
(
ずきん
)
をかぶり、年ごろは三十四、五。ぼってりと色の小白い旦那
風
(
ふう
)
であった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「毛唐にも、相当に
洒落者
(
しゃれもの
)
があるのだなあ」
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あの
祖父
(
じじい
)
に、あの摂政時代と執政内閣時代との
木乃伊
(
みいら
)
に、あの古めかしい
洒落者
(
しゃれもの
)
に
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
地方にめずらしい
洒落者
(
しゃれもの
)
で、綺羅やかな太刀、狩衣の装いや、馬具の飾りの美々しさは、つねに草深い領下の土民の眼をそばだたせていた。そして、いつも七人や八人の供は連れている。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アリストファネスに目を伏せさせた
巫女
(
みこ
)
のように、ラブレーにも耳を押さえさせるかと思われるばかりの無作法な女ども、
麻屑
(
あさくず
)
の
鬘
(
かつら
)
、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
肉襦袢
(
にくじゅばん
)
、
洒落者
(
しゃれもの
)
の帽子、
斜眼者
(
やぶにらみ
)
の
眼鏡
(
めがね
)
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
うっかりしてる
洒落者
(
しゃれもの
)
が街路の向こうを通りかかったので、その方に心が向いた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
洒
漢検1級
部首:⽔
9画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
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洒落者揃