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汐時
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しおどき
ふりがな文庫
“
汐時
(
しおどき
)” の例文
汐時
(
しおどき
)
さえ計っておけば、舟は殆んど同じところを動くことはない。読み飽きれば帽子を顔にかぶせ、舟底へ横になって眠ってもいい。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
折ふし、小屋の木戸は、これから灯も入れ客も入れようとしていた
汐時
(
しおどき
)
だった。だが今はそれどころか、降ッて湧いた
椿事
(
ちんじ
)
である。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さ、これで
可
(
よ
)
し。
皆様
(
みなさん
)
、あちらで。」と手を
揮
(
ふ
)
ってのたまうを
好
(
よ
)
き
汐時
(
しおどき
)
と、いずれもするするはらはらと
裳
(
もすそ
)
を
捌
(
さば
)
きて御引取。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
富豪の人身攻撃から段々に
強面
(
こわもて
)
の名前を売り出し
懐中
(
ふところ
)
の暖くなった
汐時
(
しおどき
)
を
見計
(
みはから
)
って妙に紳士らしく上品に構えれば、やがて国会議員にもなれる世の中。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
双六
(
すごろく
)
の上手の言葉を引いて(第百十段)修身治国の道を説いたり、ばくち打の秘訣(第百二十六段)を引いて物事には機会と
汐時
(
しおどき
)
を見るべきを教えている。
徒然草の鑑賞
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
門の外で
体
(
てい
)
よく食い留められた連中は、
汐時
(
しおどき
)
がよかったせいか、
強
(
た
)
って見せろと乱入する者もなく、暴動を起して不平を叫ぶこともなく、まあ、明日という日もあるから
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
池かと思うほど静止した
堀割
(
ほりわり
)
の水は
河岸通
(
かしどおり
)
に続く格子戸づくりの二階家から、正面に見える古風な
忍返
(
しのびがえし
)
をつけた黒板塀の影までをはっきり映している。丁度
汐時
(
しおどき
)
であろう。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
興
酣
(
たけなわ
)
なる
汐時
(
しおどき
)
、まのよろしからざる処へ、田舎の
媽々
(
かかあ
)
の
肩手拭
(
かたてぬぐい
)
で、
引端折
(
ひっぱしょ
)
りの
蕎麦
(
そば
)
きり色、
草刈籠
(
くさかりかご
)
のきりだめから、へぎ盆に取って、上客からずらりと席順に配って
歩行
(
ある
)
いて
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「この忙がしい
汐時
(
しおどき
)
に、悠々と会ってなんかいられるものか、夕方出直して見るがいいや」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はパンツにポロシャツを着ただけで、大きな
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
をかぶっていた。海へ出ると
櫂
(
かい
)
をあげ、舟を流し放しにして本を読む。
汐時
(
しおどき
)
さえ計っておけば、舟は
殆
(
ほと
)
んど同じところを動くことはない。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
水をのみに
行
(
ゆ
)
きます廊下で、「今度などが
汐時
(
しおどき
)
じゃ。……養生と言って
実家
(
うち
)
へ帰したら。」
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前々将軍家時代から久しく
営裡
(
えいり
)
に権勢をふるッていましたが、お代がわり以来、風向きがよくないので、早くも身を退く
汐時
(
しおどき
)
と感じて、中野
桃園
(
ももぞの
)
に隠邸をしつらえて、その日
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
退
(
ひ
)
き
汐時
(
しおどき
)
か
水脚
(
みずあし
)
の
迅
(
はや
)
いこと、満々たる大河へのぞんで、舟は見る間に
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
流し——。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今、
汐時
(
しおどき
)
で、薄く一面に水がかかっていた。が、水よりは蘆の葉の影が濃かった。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうして
勢
(
いきおい
)
がこんなであるから、立続けに
死霊
(
しりょう
)
、
怨霊
(
おんりょう
)
、
生霊
(
いきりょう
)
まで、まざまざと
顕
(
あらわ
)
れても、
凄
(
すご
)
い
可恐
(
こわ
)
いはまだな事——
汐時
(
しおどき
)
に
颯
(
さっ
)
と支度を引いて、
煙草盆
(
たばこぼん
)
の
巻莨
(
まきたばこ
)
の吸殻が一度
綺麗
(
きれい
)
に片附く時
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
武蔵は飽くまで
小賢
(
こざか
)
しく
狡
(
ずる
)
く行動して、いい
汐時
(
しおどき
)
にさっと逃げてしまった。——しかし、或る程度までは、かなり野蛮で強いことは強い。だが、達人だなどいう評判はあたらぬも甚だしい。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汐時
(
しおどき
)
が二つはずれて、朝六つから夜の四つ時まで、苦しみ通しの難産でのう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝晩
汐時
(
しおどき
)
を見ては拾っておきまして、お客様には、お土産かたがた、毎度
婆々
(
ばば
)
が
御愛嬌
(
ごあいきょう
)
に進ぜるものでござりますから、つい人様が御存じで、葉山あたりから遊びにござります、書生さんなぞは
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汐
漢検準1級
部首:⽔
6画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“汐”で始まる語句
汐
汐留
汐風
汐干
汐干狩
汐汲
汐入
汐路
汐水
汐鳴