此胸このむね)” の例文
幾度いくたび幾通いくつう御文おんふみ拜見はいけんだにせぬれいかばかりにくしと思召おぼしめすらん、はいさば此胸このむね寸斷すんだんになりてつね決心けつしんえうせん覺束おぼつかなさ
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せまいかと此胸このむね落付おちつかぬ我年こそ寄れ此病氣でさへなきならば第一番に御邸おやしきより御二人樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たかなみだかほうらめしげに、おなさけなしまだ其樣そんなこと自由まゝにならば此胸このむねなかつて御覽ごらんれたし。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きに月日つきひながからんことらや、何事なにごともさらさらとてヽ、からず面白おもしろからずくらしたきねがひなるに、春風はるかぜふけばはなめかしき、枯木かれきならぬこヽろのくるしさよ、あはつききか此胸このむねはるけたきにと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
殿とのいまもし此處こゝにおはしまして、れいかたじけなき御詞おことば數々かず/\、さてはうらみににくみのそひて御聲おんこゑあらく、さては勿躰もつたいなき御命おいのちいまをかぎりとのたまふとも、れは此眼このめうごかんものか、此胸このむねさわがんものか
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)