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枡
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ます
ふりがな文庫
“
枡
(
ます
)” の例文
和尚さんが村の家々の戸口に立つて、短い経を読むと、百姓達はもうちやんと知つてゐて、新しい米を
枡
(
ます
)
に入れて奥から出て来ます。
百姓の足、坊さんの足
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
○それで明治座へ行って、自分の
枡
(
ます
)
へ
這入
(
はい
)
ってみると、ただ四方八方ざわざわしていろいろな色彩が眼に映る感じが一番強かった。
明治座の所感を虚子君に問れて
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
死骸はその凹路を平地と水平にし、
枡
(
ます
)
にきれいにはかられた麦のようにその縁と平らになっていた。上部は
死骸
(
しがい
)
の
堆積
(
たいせき
)
、下の方は血潮の川。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
戸を細めている真暗な居酒屋の軒下に立って、一角は、
枡
(
ます
)
をうけ取った。
樋
(
とい
)
の雨水が、ざっざと、背なかを打つのであった。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
稀有
(
けう
)
の徴税法 ここに一つ
可笑
(
おかし
)
い事がある。大蔵省でマルを量る
衡
(
はかり
)
がおよそ二十種ばかりある。それから麦、小麦、豆等を量る
枡
(
ます
)
も三十二種ある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
惡い番頭が勝手にそんなものを
拵
(
こしら
)
へて、自分の懷ろを
肥
(
こや
)
して居たのを、何にも知らない俺達の親父とお袋が罪を
背負
(
しよ
)
はされ、いかさま
枡
(
ます
)
は罪が深いと言ふので
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで一人づつ、持つてゐる茶碗を
倒
(
さかさま
)
にして、米屋が一合
枡
(
ます
)
で米をはかるやうに、ぞろぞろ虱をその襟元へあけてやると、森は、大事さうに外へこぼれた奴を拾ひながら
虱
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
米櫃
(
こめびつ
)
の蓋をとって
枡
(
ます
)
で計ってみている妻の手つきがかたかた寒い音を立てている。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
哲学上にて、人知は相対かつ有限にして、宇宙は絶対かつ無限であると申しますが、有限の
枡
(
ます
)
をもって無限の水を量ること難く、相対の人知をもって絶対の宇宙を知ることはむつかしい。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
枡
(
ます
)
、
目結
(
めゆい
)
、
雷
(
らい
)
、
源氏香図
(
げんじこうず
)
などの模様は、平行線として知覚されることが必ずしも不可能でない。殊に縦に
連繋
(
れんけい
)
した場合がそうである。したがってまた「いき」である可能性をもっている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
牛や犬・猫・鶏には、もちろん
銘々
(
めいめい
)
の年取りがあったのみならず、同じ晩はまた道具の年越と称して、
臼
(
うす
)
や
箕
(
み
)
や
枡
(
ます
)
の類まで、一ところに集めて
鏡餅
(
かがみもち
)
を供える風が、実際はまだ決して
稀
(
まれ
)
でない。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
拝啓 昨日は失敬本日学校でモリスに聞いて見た所二十八日の
喜多
(
きた
)
の能を見に行くから
枡
(
ます
)
を一つ(上等な所。あまり舞台が鼻の先にない所を)とってもらいたいという事であります。どうか願います。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ひとのからだを
枡
(
ます
)
ではかる。七斗だの八斗だのという。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
、……むしゃくしゃするから、台所へ掛合って
枡
(
ます
)
で飲んだ、飲んだが、何うだ。会費じゃあねえぜ。二升や三升で酔うような行力じゃねえ、酔やしねえが、な、見ねえ。……
玉
(
ぎょく
)
に白粉で、かもじと来ちゃあ堪らねえ。あいよ、
姐
(
ねえ
)
さん。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四角に仕切った芝居小屋の
枡
(
ます
)
みたような時間割のなかに立て
籠
(
こも
)
って、
土竜
(
もぐら
)
のごとく働いている教師より
遥
(
はる
)
かに結構である。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それはみな大小異なって居るので、まずボーチクというのがほぼ我が国の一
斗
(
と
)
枡
(
ます
)
と同じであって正当な枡である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「いかさま
枡
(
ます
)
を拵へた張本人の番頭は、それつきり
行方
(
ゆくへ
)
知れず。俺達兄弟の
怨
(
うら
)
みは、兩親に繩を打つたお前——與力笹野新三郎にかゝるのは當り前の事ぢやないか」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一
升
(
しょう
)
枡
(
ます
)
の冷酒に舌うち鳴らした上、料紙と
硯
(
すずり
)
を借りうけ、何か
認
(
したた
)
めたものを小袖づつみの生首の
髻
(
もとどり
)
に結びつけて、たッた今
愛宕
(
あたご
)
通りを左へ曲がって行ったということが仔細に分った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
枡
(
ます
)
を持ち出して、反物の尺を取ってやるから、さあ持って来いと号令を下したって誰も号令に応ずるものはありません。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかるに場合によるとその枡より大きな一斗五
升
(
しょう
)
枡
(
ます
)
で取立てる事もあり、また七升五合枡で取立てる事もあるから、納税者にとっては大変幸不幸がある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
血の巡りが悪いからお前は気がつかなかったろうが、何を隠そう俺達はな、——八合判のいかさま
枡
(
ます
)
を使ったという罪で、三年前に獄門になった、米屋——
越後屋勇助
(
えちごやゆうすけ
)
夫婦の忘れ形見だよ
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
十段目に、初菊が、あんまり聞えぬ光よし様とか何とかいうところで
品
(
しな
)
をしていると、私の隣の
枡
(
ます
)
にいた御婆さんが誠実に泣いてたには感心しました。
虚子君へ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
血の巡りが惡いからお前は氣がつかなかつたらうが、何を隱さう俺達はな、——八合判のいかさま
枡
(
ます
)
を使つたといふ罪で、三年前に
獄門
(
ごくもん
)
になつた、米屋——越後屋勇助夫婦の忘れ形見だよ
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すわりくたびれたとみえて、
枡
(
ます
)
の仕切りに腰をかけて、場内を見回しはじめた。その時三四郎は明らかに野々宮さんの広い額と大きな目を認めることができた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世話人は巴屋の番頭手代に、町内の
鳶頭
(
とびがしら
)
、臨時にかり集めた人足など、土間に積んだ二三十俵の白米を一俵ずつほぐすと、順々に入って来る女子供へ、
枡
(
ます
)
で量って威勢よく
頒
(
わ
)
けてやっております。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
岡は
夜
(
よ
)
を
掠
(
から
)
めて本郷から起る。高き台を
朧
(
おぼろ
)
に浮かして幅十町を東へなだれる
下
(
お
)
り
口
(
くち
)
は、根津に、
弥生
(
やよい
)
に、切り通しに、驚ろかんとするものを
枡
(
ます
)
で
料
(
はか
)
って
下谷
(
したや
)
へ通す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
枡
(
ます
)
の
角
(
すみ
)
からばかり飲むからだよ」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“枡”の解説
枡(ます)は、体積を計量するための測定器。主として、尺貫法の単位である「合」「升」「斗」を量るために利用される。
なお、「枡」は祝枡など日本酒を飲むための「酒枡」や節分用の豆を入れるための「節分枡」など計量を目的としない四角形の容器を指すこともあるが、以下、この項目では主に計量用の枡について述べる。
(出典:Wikipedia)
枡
漢検1級
部首:⽊
8画
“枡”を含む語句
枡形
枡屋
枡落
枡田屋
枡目
一升枡
枡型
枡屋善作
枡平
枡数
枡田
枡酒