新緑しんりょく)” の例文
おかがると、はるのころは、新緑しんりょく夢見ゆめみるようにけむった、たくさんの木立こだちは、いつのまにかきられて、わずかしかのこっていなかった。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
その日はいかにも初夏しょからしいお天気で、丘の上の新緑しんりょくはほんのりかすみ、空も水もふっくらとふくらみ、かわずはねむそうにないて、なんともいえないいい気持でした。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
画家がかが、托児所たくじしょ小屋こやをとりいれて、新緑しんりょく木立こだち写生しゃせいしていました。役人やくにんや、学者がくしゃの一こうが、そのそばをとおりかかりました。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるになるとはなき、そして、新緑しんりょくにかわり、やがて、あきになると、木々きぎ黄色きいろく、あかく、いろづいてあめにほろほろとちるのであります。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
十日とおかばかりまえのことでした。新緑しんりょくがすがすがしいしいのしたで、たたみやが、しごとをしているのを、かねさんは、ってていました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、また自転車じてんしゃはしらせて、きたときのみちをもどるころには、そらは、くもって、村々むらむら新緑しんりょくが、いちだんと銀色ぎんいろひかってかすんでいました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
新緑しんりょくいろは、だんだんくなって、どこのおかにもあかいつつじのはなさかりでした。またはやしには、小鳥ことりいていました。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
メーデーのでした。おかうえ新緑しんりょくが、かぜかれて、さんさんとした、ひかりなかおどっていました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
ついこのあいだまで、をふいたばかりの新緑しんりょくが、うす緑色みどりいろけむっていたのが、すっかり青葉あおばとなっていました。ここからは、あちらまでつづく、まちほうおろされました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二郎じろうは、我慢がまんをして、もうすこしのあいだないことにしました。その午後ごごから、あめれて、あおそらがあらわれたのであります。かぜはさやさやと新緑しんりょくうえわたっていました。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)