斜面しゃめん)” の例文
は、なだらかな斜面しゃめんって、した雑草ざっそうがしげり雑草ざっそうにまじって、むらさきいろはないていました。しゅんらんかもしれません。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さっきすべりおちた崖の斜面しゃめんのしたから、百五十メートルばかりもはなれたところに立っていたのだ。彼は斜面の下へむかって急いで歩いた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けれど、それでも、たに斜面しゃめんをのぼって、とっつきの納屋なやへ出るまでは、やっぱり、おおかみをこわいこわいと思いながら歩いて行ったのです。
知っての通り下寺町の東側のうしろには生国魂いくたま神社のある高台がそびえているので今いう急な坂路は寺の境内けいだいからその高台へつづく斜面しゃめんなのであるが
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ほとんど平地にめぐまれないこの部落の人たちは、過去数十年間の努力を積んで、山の斜面しゃめんを残るくまなく、茶畑と蜜柑みかん畑と竹林とにかえてしまったのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そしてガドルフは自分のほてっていたむ頭のおくの、青黝あおぐろ斜面しゃめんの上に、すこしもうごかずかがやいて立つ、もう一むれの貝細工かいざいくの百合を、もっとはっきり見ておりました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
やがて前面ぜんめんに、やや小高こだか砂丘すなやま斜面しゃめんあらわれ、みちはその頂辺てっぺんところのぼってきます。
子供たちはまた林の中のいろいろなけ道を私に教えてくれようとした。そうして急な草深い斜面しゃめんをずんずん駈け下りて行った。私はそのあとから危かしそうな足つきでついて行った。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
軟泥なんでいを背景として、人骨がちらばっており、深海魚しんかいぎょ燐光りんこう気味きみわるくいたり消えたりするところもとび越えて、底知れぬ岩の斜面しゃめんにそっておりていく。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
人里と云うものは挟間はざまがあればどこまでも伸びて行くものと見えて、その三方を峰のあらしで囲まれた、ふくろの奥のような凹地くぼちの、せせこましい川べりの斜面しゃめんに段を築き、草屋根を構え
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私は、にわかに、たえ切れないほどの疲労をおぼえて、そのまま段丘の斜面しゃめんに、うつしてしまった。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
めっきりと冷える朝ではあったが、そこはうしろになだらかな斜面しゃめんを持った山をめぐらした、風のあたらない、なごやかな日だまりになった一廓いっかくで三四軒の家がいずれも紙をすいていた。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
人気にんきは荒かった。彼は押されているうちに斜面しゃめんすべって、避難の市民の頭のうえにちそうになった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が博士は、すこしもひるむことなく、城壁じょうへきの崩れかけた斜面しゃめんに足をかけ手をおいて、登りだした。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
地下戦車は、すさまじく土をはねとばしながら、すこしずつ、斜面しゃめん土中どちゅうにつきすすんでいった。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けわしい斜面しゃめんで、木の根につかまって、すこしずつのぼっていくのであった。枯れ葉に足をとられて、せっかくのぼった斜面を、ずるずるとすべり落ちて、大損おおぞんすることもあった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なるほど、ヤヨイ号は、かたい雪の斜面しゃめんに、ななめにかしいだまま、腹ばいになっているのであった。左のつばさが、根もとから、もぎとられている。機首きしゅは雪の中につっこんでいた。
氷河期の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
玉太郎と伯爵隊長が、大穴のできた原因について話し合っている間に、監督ケンは、穴のふちをのりこえて、斜面しゃめんをそろそろ下へ下りて行く。ポチは、いそいそと先に立っている。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
他の異人たちも、いつしか同じように、首の下だけに光の輪をこしらえ、頭目とうもくらしい者のあとについて斜面しゃめんを下っていった。彼らの動作は、いかついからだのわりに身がるに見えた。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このとき三人は、背の低い熊笹くまざさのおい茂った山の斜面しゃめんを下りているところだった。いじわるく、身をかくすに足る大木もない。そこで熊笹の中にうつ伏したまま、岩のように動かないことにつとめた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「うむ、山の斜面しゃめんにのりあげたんだ」
氷河期の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)