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すく
ふりがな文庫
“
拯
(
すく
)” の例文
和歌に代りて起りたる俳句幾分の和歌臭味を加えて元禄時代に
勃興
(
ぼっこう
)
したるも、
支麦
(
しばく
)
以後ようやく腐敗してまた
拯
(
すく
)
うに道なからんとす。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
私も出来る事なら、人間
両個
(
ふたり
)
の命を
拯
(
すく
)
ふのですから、どうにでもお助け申して、一生の手柄に為て見たい。私はこれ程までに申すのです
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
走り出して七、八間、あッと筒抜けの声が夕暗を流れたかと思うと、
男女
(
ふたり
)
の姿は、地に張られていた一本の繩に
諸足
(
もろあし
)
を
拯
(
すく
)
われて
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてその弊を
拯
(
すく
)
うには、ただ個人教育の法を参取する一途があるのみである。
是
(
ここ
)
において世には往々昔の儒者の家塾を夢みるものがある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼女
(
かれ
)
は単に𤢖の
餌食
(
えじき
)
となるべき若い女の不幸を
憫
(
あわ
)
れんで、何とかして
之
(
これ
)
を
拯
(
すく
)
って
与
(
や
)
りたいと思ったのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
が、『リグヴェダ』既にアスヴィナウが赤き翼ある馬して海中よりブフギウスを
拯
(
すく
)
い出さしむとあれば、釈尊出生より
迥
(
ずっ
)
と前から翼ある馬の譚がインドにあったのだ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
豫め二人で繩を持つて居て追つて來る所をぐつと繩を引つ張つたから足を
拯
(
すく
)
はれたのである。
芋掘り
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
感応
(
かんのう
)
ありて、一念の誠
御心
(
みこころ
)
に
協
(
かな
)
い、
珠運
(
しゅうん
)
は
自
(
おの
)
が
帰依仏
(
きえぶつ
)
の
来迎
(
らいごう
)
に
辱
(
かたじけ
)
なくも
拯
(
すく
)
いとられて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
恐々
(
こわごわ
)
と、すがる手を、郁次郎は自分の手へ
拯
(
すく
)
い取った。彼女のいじらしい恋は、爪のさきまで、桃いろに燃えていた。熱い、火のような手だった。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
対手
(
あいて
)
が君であつたのが運の尽きざるところなのだ。旧友の僕等の難を
拯
(
すく
)
ふと思つて、一つ頼を聴いてくれ給へ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
空屋には偶然にも
彼
(
か
)
のお葉が
居合
(
いあわ
)
せて、
彼女
(
かれ
)
は冬子を
拯
(
すく
)
わんとして𤢖と闘った。そこまでの事は冬子も知っているが、気を失って倒れた
後
(
のち
)
の出来事は
些
(
ちっ
)
とも判らぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
片紙斷簡を將に廢せんとするに
拯
(
すく
)
ひて、之を新裝し再蘇せしむるが如きは助長であり、心無く塵埃堆裏に抛置し、
鼠牙
(
そが
)
蛀殘
(
しゆざん
)
の禍を蒙らしめ、雨淋火爛の難を受けしむるが如きは剋殺である。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
和歌に代りて起りたる俳句幾分の和歌臭味を加へて元禄時代に
勃興
(
ぼっこう
)
したるも、
支麦
(
しばく
)
以後
漸
(
ようや
)
く腐敗してまた
拯
(
すく
)
ふに道なからんとす。
是
(
ここ
)
において蕪村は複雑的美を捉へ来りて俳句に新生命を与へたり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
朋友の窮を
拯
(
すく
)
ひ、貧人の病を療したのは此意より出でたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そして
両
(
りょう
)
の
掌
(
て
)
に、足もとの土を
拯
(
すく
)
い取り、それを持ったまま彼方へ向って歩きだした。
前栽
(
せんざい
)
から大庭へ入ったひだりに、まろい山芝の築山がある。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんな高利を借りても急を
拯
(
すく
)
はにや
措
(
おか
)
れんくらゐの困難が様々にある今の社会じや、高利貸を不正と謂ふなら、その不正の高利貸を作つた社会が不正なんじや。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
又
何
(
ど
)
うして
此処
(
ここ
)
へ重太郎が
引返
(
ひっかえ
)
して来たか判らぬ。
恐
(
おそら
)
くは烈しい吹雪に
途
(
みち
)
を失って、再びここまで迷って来ると、
恰
(
あたか
)
もお葉が𤢖に殺されんとする所に会ったので、彼は又お葉を
拯
(
すく
)
わんとして闘った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、いきなり彼の脚元へ身を這わせ、虻を打つと見せて、片脚を
拯
(
すく
)
いかけた。
拯
(
すく
)
われたら後ろの
溜
(
ため
)
へもんどりは知れたこと。智深は無意識に体をねじッた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と二人は手を揃えて、やっと舸の中へ
拯
(
すく
)
い上げて見ると、女と思いきや前髪立ちの美少年で、水に
浸
(
ひた
)
されて蝋より白くなった顔に、わずかな血の痕が
黝
(
くろず
)
んでいた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
裸足
(
はだし
)
で飛び出した
阮
(
げん
)
小二は、すぐ
杭
(
くい
)
の小舟を解き放して、呉用の体を
拯
(
すく
)
いとり、櫂を
操
(
あやつ
)
ッて
漕
(
こ
)
ぎだした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、新七は、
頤
(
あご
)
を
拯
(
すく
)
って、唖といっしょに、石を詰めた網ぶくろを、彼の縄目に幾つも
結
(
ゆ
)
いつけた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駈ける背中を
凩
(
こがらし
)
が吹き
拯
(
すく
)
って、てっぽう
笊
(
ざる
)
の紙屑を、蝶か千鳥かと、
黄昏
(
たそがれ
)
の空へ吹き散らした。やがて高く舞ったのが、どこかの屋敷の
屋根瓦
(
やねがわら
)
へ、気永にヒラ——と白く落ちてくる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとりが、そのうしろを
拯
(
すく
)
って、彼の
喉
(
のど
)
を締めると、ひとりがすぐに、足をつかむ。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つかみ止めている、彼の腕くび、それを
拯
(
すく
)
ってグッと身を沈める。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
李逵は足を
拯
(
すく
)
われて転ぶ。先生は右往左往する。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高氏は、その手を
拯
(
すく
)
い取って
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拯
漢検1級
部首:⼿
9画
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救拯
相拯