トップ
>
承塵
>
なげし
ふりがな文庫
“
承塵
(
なげし
)” の例文
ある時、須磨子が湯上りの
身体
(
からだ
)
に派手な
沿衣
(
ゆかた
)
を
引掛
(
ひつか
)
けてとんとんと
階段
(
はしごだん
)
を
上
(
あが
)
つて自分の居間に入ると、ふと
承塵
(
なげし
)
に懸つた額が目についた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
かくても
未
(
いま
)
だ
怒
(
いかり
)
は解けず、お村の
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
くゝ
)
りたる縄の
端
(
はし
)
を
承塵
(
なげし
)
に
潜
(
くぐ
)
らせ、天井より
釣下
(
つりさ
)
げて、一太刀
斬附
(
きりつ
)
くれば、お村ははツと我に返りて
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
承塵
(
なげし
)
造りの塗ガマチに赤銅
七子
(
ななこ
)
の釘隠しを打ちつけた、五十畳のぜいたくな大広間の正面に金屏風を引きまわし、
阿蘭陀
(
おらんだ
)
渡りの大毛氈を敷きつめ
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
奇談クラブの集会室、幽幻な感じのする真珠色の微光が、
承塵
(
なげし
)
の裏から室全体を海の底のように照して居る中に立って、幹事の今八郎は斯う口を開きました。
新奇談クラブ:01 第一夜 初夜を盗む
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は始て気が附いて、
承塵
(
なげし
)
に貼り出してある余興の目録を見た。
不折
(
ふせつ
)
まがいの奇抜な字で、余興と題した次に、赤穂義士討入と書いて、その下に
辟邪軒秋水
(
へきじゃけんしゅうすい
)
と注してある。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
承塵
(
なげし
)
にあッた
薙刀
(
なぎなた
)
も、床にあッた
鏁帷子
(
くさりかたびら
)
も、無論三郎がくれた匕首もあたりには影もない。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
(播磨は股立を取りて縁にあがり、
承塵
(
なげし
)
にかけたる槍の
鞘
(
さや
)
を払つて庭にかけ降りる。)
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
承塵
(
なげし
)
には池の
水照
(
みでり
)
の影ゆらぎまだ春早し鼠のをどり
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
昔
修行者
(
しゅぎょうじゃ
)
が、こんな
孤家
(
ひとつや
)
に、
行暮
(
ゆきく
)
れて、宿を借ると、
承塵
(
なげし
)
にかけた、
槍
(
やり
)
一筋で、
主人
(
あるじ
)
の由緒が分ろうという処。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床も、
承塵
(
なげし
)
も、柱は
固
(
もと
)
より、
彳
(
たたず
)
めるものの踏む
処
(
ところ
)
は、
黒漆
(
こくしつ
)
の落ちた
黄金
(
きん
)
である。
黄金
(
きん
)
の
剥
(
は
)
げた黒漆とは思われないで、しかも
些
(
さ
)
のけばけばしい感じが起らぬ。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一
可恐
(
おそろし
)
いのは、明神の拝殿の
蔀
(
しとみ
)
うち、すぐの
承塵
(
なげし
)
に、いつの昔に奉納したのか
薙刀
(
なぎなた
)
が
一振
(
ひとふり
)
かかっている。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ト見ると襖から
承塵
(
なげし
)
へかけた、
雨
(
あま
)
じみの
魍魎
(
もうりょう
)
と、肩を並べて、その
頭
(
かしら
)
、
鴨居
(
かもい
)
を越した偉大の人物。眉太く、
眼円
(
まなこつぶら
)
に、鼻隆うして口の
角
(
けた
)
なるが、
頬肉
(
ほおじし
)
豊
(
ゆたか
)
に、あっぱれの人品なり。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
氷室
(
ひむろ
)
の
朔日
(
ついたち
)
と云って、
少
(
わか
)
い娘が娘同士、自分で
小鍋立
(
こなべだ
)
ての
飯
(
まま
)
ごとをして、客にも呼ばれ、呼びもしたものだに、あのギラギラした
小刀
(
ナイフ
)
が、縁の下か、天井か、
承塵
(
なげし
)
の途中か、
在所
(
ありどころ
)
が知れぬ
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
承
常用漢字
小6
部首:⼿
8画
塵
漢検準1級
部首:⼟
14画
“承”で始まる語句
承
承知
承諾
承引
承久
承認
承合
承昭
承応
承禎