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愛相
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あいそ
ふりがな文庫
“
愛相
(
あいそ
)” の例文
微酔以上なそぞろ心地も
手助
(
てつだ
)
っていたことだし、稀れには、彼女がどんな
愛相
(
あいそ
)
を見せるかと、ふと見たい気もしたものにちがいない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それではお
暇
(
いとま
)
いたしましょう。
稚
(
おさな
)
い事を、
貴僧
(
あなた
)
にはお恥かしいが、明さんに一式のお
愛相
(
あいそ
)
に、手毬をついて見せましょう、あの……」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども、天魔に魅入られたものと親父も
愛相
(
あいそ
)
を
尽
(
つか
)
して、
唯
(
ただ
)
一人の娘を阿父さん彼自身より
十歳
(
とを
)
ばかりも
老漢
(
おやぢ
)
の高利貸にくれて了つたのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
本屋は、お
愛相
(
あいそ
)
のつもりで、チヤーチルの
作物
(
さくもつ
)
は何一つ残さず読んだ。なかには十回も繰返したのがあると言つて
附足
(
つけた
)
した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お島の目にも、
愛相
(
あいそ
)
のいい青柳の人柄は好ましく思えた。彼は青柳から始終お島坊お島坊と呼びなずけられて来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
勝は外を通つてる人の聲を聞いても時々
氣疎
(
けうと
)
いことがありますぞな。ようあんな下卑たことを大きな聲で
喋舌
(
しやべ
)
つて、げら/″\笑つて居られると
愛相
(
あいそ
)
が盡きてしまふ。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
糯米
(
もちごめ
)
を
磨
(
と
)
ぐことから
小豆
(
あずき
)
を煮ること餅を
舂
(
つ
)
くことまで男のように働き、それで苦情一つ言わずいやな顔一つせず客にはよけいなお世辞の空笑いできぬ代わり
愛相
(
あいそ
)
よく茶もくんで出す
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
特に、彼への杯には、朱富自身が、
酌
(
しゃく
)
をしていた。——ほか数十人の兵ときては、酌の面倒や
愛相
(
あいそ
)
はいらない。
蜜
(
みつ
)
へたかった
蠅
(
はえ
)
のような黒さである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軽薄でなければ
詐
(
いつはり
)
、詐でなければ利慾、
愛相
(
あいそ
)
の尽きた世の中です。それほど
可厭
(
いや
)
な世の中なら、
何為
(
なぜ
)
一思
(
ひとおもひ
)
に死んで了はんか、と或は御不審かも知れん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼女はお
愛相
(
あいそ
)
を言うのだったが、作家というもの、ことにこの資財家の友人である庸三なぞの生活が、どんなものだかという見当もつかぬものらしかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのお嬢さんは財布には金貨を、口はお
愛相
(
あいそ
)
をたつぷり持合はせてゐるのを自慢にしてゐる
性
(
たち
)
の女であつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「だまって持って来い。こう、すぐおあとだよ。それから、
女将
(
おかみ
)
にここへ来て、お
愛相
(
あいそ
)
でもしねえかといってやれ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴方が
余所外
(
よそほか
)
に未だ何百人愛してゐらつしやる
方
(
かた
)
が有りませうとも、それで
愛相
(
あいそ
)
を
尽
(
つか
)
して、貴方の事を思切るやうな、私そんな浮気な
了簡
(
りようけん
)
ではないのです。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
三須の場合も、お
愛相
(
あいそ
)
をするのは加世子であった。藤子は入口の
襖
(
ふすま
)
に、いつも吸いついたように坐っていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
渓仙氏は
家
(
うち
)
にゐた。
唐茄子
(
とまと
)
のやうな真つ赤な客の顔を見ると、つい
愛相
(
あいそ
)
が言つてみたくなつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
初対面よりだんだんに
愛相
(
あいそ
)
のよくなるのがおかしいくらいであった。源吾は、あわよくば、宗徧に従って、一度、吉良家の茶会に列してみたいと願っていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ああなってしまっちゃ、あの人ももう駄目よ」おゆうは鶴さんに
愛相
(
あいそ
)
がつきたように言った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もしかお互に狐のやうな尻つ尾を持つてゐたなら、犀水氏は立派な
画家
(
ゑかき
)
は皆尻つ尾を持つてるものだと言ふだらうし、栖鳳氏も
傑
(
すぐ
)
れた批評家は大抵さうだとお
愛相
(
あいそ
)
を言つたに相違なかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
母親はお島の前では、初めて来た婿にも、
愛相
(
あいそ
)
らしい
辞
(
ことば
)
をかけることもできぬ程、お互に神経が
硬張
(
こわば
)
ったようであったが、鶴さんと二人きりになると、そんなでもなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「えゝ/\、よござんすとも。」と
主婦
(
かみ
)
さんは
愛相
(
あいそ
)
笑ひをしながら言つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
才気ばしったお
愛相
(
あいそ
)
の好い師匠を中心に、しばし雑談に時を移したが、その間も葉子は始終
俛
(
うつむ
)
きがちな
蒼白
(
あおじろ
)
い顔に、深く思い悩むらしい
風情
(
ふぜい
)
を浮かべて、黙りとおしていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ある時
門司
(
もじ
)
で若い
芸妓
(
げいしや
)
が病気で亡くなつた。
流行
(
はやり
)
つ
妓
(
こ
)
だけあつて、生きてゐる
間
(
うち
)
には、
色々
(
いろん
)
な人に
愛相
(
あいそ
)
よくお世辞を言つてゐたが、亡くなる時には誰にも相談しないでこつそり息を引取つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
銀子もざっくばらんに
挨拶
(
あいさつ
)
した。彼女は客商売をしたに似合わず、性分としてたらたらお
愛相
(
あいそ
)
のいえない方であった。好いお嬢さんねとか、
綺麗
(
きれい
)
ねとか
肚
(
はら
)
に思っていても口には出せないのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と
愛相
(
あいそ
)
を言ふ人があると、急に顔の
相好
(
さうがう
)
を崩して
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかしお絹は
愛相
(
あいそ
)
よく迎えて、うまく取り
繕
(
つくろ
)
っているらしかった。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
“愛”で始まる語句
愛
愛嬌
愛想
愛撫
愛宕
愛惜
愛宕山
愛憎
愛娘
愛敬