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おもいや
ふりがな文庫
“
思遣
(
おもいや
)” の例文
容体がさも、ものありげで、鶴の一声という
趣
(
おもむき
)
。
掙
(
もが
)
き騒いで呼立てない、非凡の見識おのずから
顕
(
あらわ
)
れて、
裡
(
うち
)
の面白さが
思遣
(
おもいや
)
られる。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
窓をあけると、
鳶色
(
とびいろ
)
に曇った空の果に、山々の峰続きが
仄白
(
ほのじろ
)
く見られて、その奥の方にあると聞いている、
鉱山
(
やま
)
の人達の生活が物悲しげに
思遣
(
おもいや
)
られた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「だって、兄さんが留守勝で、さぞ
御淋
(
おさむ
)
しいでしょうなんて、あんまり
思遣
(
おもいや
)
りが
好過
(
よす
)
ぎる事を
仰
(
おっ
)
しゃるからさ」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やはり吒祇尼法であったろうことは
思遣
(
おもいや
)
られるが、他の者に祈られて狐が二匹室町御所から
飛出
(
とびだ
)
したなどというところを見ると、将軍長病で治らなかった余りに
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
なつは三之丞と四つ違いで、さして美人というのではないが、
思遣
(
おもいや
)
りの深い利巧な娘だった。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
それには又、僕の苦しい立場を救ってやろうという、優しい
思遣
(
おもいや
)
りもあるのです
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一度
(
いちど
)
商売したものは辛抱の置き処が違ふ故当人いかほど殊勝の覚悟ありても
素人
(
しろうと
)
のやうには
行
(
ゆ
)
かぬなり。これを
巧
(
たく
)
みに使つて身を落ちつかせてやるは亭主となつた男の
思遣
(
おもいや
)
り一ツによる事なり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼
(
かれ
)
はハバトフが
昨日
(
きのう
)
のことは
噫
(
おくび
)
にも
出
(
だ
)
さず、かつ
気
(
き
)
にも
掛
(
か
)
けていぬような
様子
(
ようす
)
を
見
(
み
)
て、
心中
(
しんちゅう
)
一方
(
ひとかた
)
ならず
感謝
(
かんしゃ
)
した。こんな
非文明的
(
ひぶんめいてき
)
な
人間
(
にんげん
)
から、かかる
思遣
(
おもいや
)
りを
受
(
う
)
けようとは、
全
(
まった
)
く
意外
(
いがい
)
であったので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と法師から
打背
(
うちそむ
)
く、と
俤
(
おもかげ
)
のその薄月の、
婦人
(
おんな
)
の風情を
思遣
(
おもいや
)
ればか、
葦簀
(
よしず
)
をはずれた日のかげりに、姥の
頸
(
うなじ
)
が白かった。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
菰田源三郎の墓の隣には源三郎の祖父に当る人の棺が埋めてあるのですが、そこには今、あなたの
思遣
(
おもいや
)
りのあるはからいで、お
爺
(
じい
)
さんと孫とが、骨と骨とで抱合って、仲よく眠っているのですよ
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それがせめてもの
思遣
(
おもいや
)
りに見えたけれども、それさえ、そうした度の過ぎた酒と色に血の荒びた、神経のとげとげした、狼の手で掴出された、
青光
(
あおびかり
)
のする
腸
(
はらわた
)
のように見えて
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
社
(
やしろ
)
に
丹
(
に
)
を塗り、番地に数の字を
記
(
か
)
いた、これが
白金
(
しろかね
)
の地図でと、おおせで、老人の前でお手に取って
展
(
ひら
)
いて下され、尋ねます
家
(
うち
)
を、あれか、これかと、いやこの目の
疎
(
うと
)
いを
思遣
(
おもいや
)
って
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
息苦しいほどで、この日中が
思遣
(
おもいや
)
られる。——海岸へ行くにしても、途中がどんなだろう。見合せた方がよかった、と
逡巡
(
しりごみ
)
をしたくらいですから、
頭脳
(
あたま
)
がどうかしていはしないかと、
危
(
あやぶ
)
みました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と聞くさえ、……わけて熊野の僻村らしい…その佗しさが
思遣
(
おもいや
)
られる。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
“思”で始まる語句
思
思召
思出
思案
思惑
思惟
思慮
思想
思切
思入