御内みうち)” の例文
ここによきはかりごとこそあれ、頃日このころ金眸きんぼう大王が御内みうちつかへて、新参なれどもまめだちて働けば、大王の寵愛おおぼえ浅からぬ、彼の黒衣こくえこそよかんめれ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
右大将小松殿の御内みうちでも、成田兵衛為成なりたのひょうえためなりと、弓矢にしられた父をもつ寿童丸だぞ。——罰がなんじゃ。あたらばあたってみるがよい。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
... シテ其方そなたが見定め置きし女子とは、何れの御内みうちか、但しは御一門にてもあるや、どうぢや』。『小子それがしが申せし女子は、る門地ある者ならず』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「いや、何とも致さぬが、もしこの中に少納言殿の御内みうちでないものがいたと思え。そのものこそはあめした阿呆あほうものじゃ。」
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「余人でもござりませぬ。関白殿御内みうちに御奉公する、玉藻という女子でござりまする」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
されば御家おいえ相続の子無くして、御内みうち外様とざまの面〻、色〻いさめ申しける。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
つくされしは京都堂上方だうじやうがた御内みうち關係かゝはるの事がらなればなりされど四海にとゞろ明智めいち忠相たゞすけ殿ゆゑ始終しじうの所まで洞察みとほされて嚴敷きびしくたづねられければ大惡だいあく無道ぶだうの安間平左衞門も終に白状に及び口書も相濟あひすみとがめの次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「武田殿が御内みうちにて、原美濃守みののかみが三男、仔細なそうろうて、鳴海の東落合に、年ごろわび住居な仕る桑原甚内くわばらじんないともうす者でござる」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何の御用と問はれて稍〻、躊躇ためらひしが、『今宵こよひの御宴のはてに春鶯囀を舞はれし女子をなごは、何れ中宮の御内みうちならんと見受けしが、名は何と言はるゝや』
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
御見忘れでもございませうが、手前は御内みうちに仕へて居つた、はしたの母でございます。殿がお下りになつてからも、娘はまだ五年ばかり、御奉公致して居りました。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「元よりこのような野宿者に負けてよいものか。御先祖の血をふるい起せ。木曾殿きそどの御内みうちにも人ありと知られた太夫房覚明かくみょうの血はどこへやったぞ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『あれこそは小松殿の御内みうちに花と歌はれし重景殿よ』など、女房共の罵り合ふ聲々に、人々ひとしく樂屋がくやの方を振向けば、右の方より薄紅うすくれなゐ素袍すほうに右の袖を肩脱かたぬ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「してその方たちは、皆少納言殿の御内みうちのものか。」と、ほうり出すように御尋ねなさいました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
初め、われらまでが、またなきお方と頼んでいた者には、かくの如く裏切られ、かえって鎌倉の御内みうちたるおん身から、かかる情けにあずかろうとは
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく孜々ししとして鈍才にむち打ち、聖護院の御内みうちから少しは頭角を出して、播磨公はりまのきみ弁円といわれるまでになったのだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは、羽柴殿の御内みうち、脇坂甚内安治なり。秀吉公の御命をうけ、伊賀の滝川三郎兵衛を仕置に参るにてあるぞ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もと、その修験者は、京都の聖護院しょうごいん御内みうちにあって、学識も修行も相応にすぐれた先達せんだつのように承っております。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「母上が仰せられた通り、やはり京都に住んでいました。松永久秀殿の御内みうちひそんでいるらしゅう思います」
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『敵ながらお見事。吉良殿の御内みうちにも人ありと見受けられた。これは、浅野浪人堀部安兵衛武庸たけつね
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は京都聖護院の御内みうちの修験者であるから、元より武人ではないが、また世間にありふれた凡庸ぼんような山伏とは異なって、羽黒山に籠っては七年の行を遂げ、妙見山に入っては十年の間
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
治部大輔じぶのたゆう義元殿へ見参ッ。——織田殿の御内みうちにて、服部小平太はっとりこへいたともうす者」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「てまえは、相馬殿の御内みうちの者、八坂の不死人ですが」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)