“往(ゆく)” の例文
媼はその血に筆を染めて我にわたし、「往(ゆく)拿破里(ナポリ)」と書して名を署せしめて云ふ。好し好し、法皇の封傳(てがた)に劣らぬものぞとて、懷にをさめつ。
我(われ)江戸に逗留(とうりう)せしころ、旅宿(りよしゆく)のちかきあたりに死亡ありて葬式(さうしき)の日大嵐(あらし)なるに、宿(やど)の主(あるじ)もこれに往(ゆく)とて雨具(あまぐ)きびしくなしながら、今日(けふ)の仏(ほとけ)はいかなる因果(いんくわ)ものぞや
往(ゆく)さ来るさの車馬と女の頬の農民的な赤さ——この丁抹(デンマーク)的雰囲気のまんなか、正面クリスチャン五世の騎馬像(ヘステン)に病人のような弱々しい陽脚(ひあし)がそそいで、その寒い影のなかで
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
往(ゆく)に今宵は先(まづ)藤澤(ふじさは)泊(どま)りと心懸(こゝろがけ)鶴見畷(つるみなはて)など打眺(うちながめ)ながら神奈川臺も打越し處に町人體の男半四郎の後(あと)になり先になり來りしが程(ほど)ヶ谷(や)の先なる燒持坂(やきもちざか)の邊りより彼町人體の男は聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから饂飩粉(うどんこ)を買いに往(ゆく)んだが、饂飩粉は一貫目(いっかんめ)三十一銭で負けてくれた、所で饂飩屋はこれを七玉(なゝツたま)にして売ると云うが、それは嘘だ実は九玉(こゝのツたま)にして売るのだが、僕は十一にして売るよ
「私にはまだ貴君の仰しゃる事がよく解りませんよ。何故(なぜ)そう課長さんの所へ往(ゆく)のがお厭(いや)だろう。石田さんの所へ往てお頼みなさるも課長さんの所へ往てお頼みなさるも、その趣は同一じゃ有りませんか」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
我(われ)江戸に逗留(とうりう)せしころ、旅宿(りよしゆく)のちかきあたりに死亡ありて葬式(さうしき)の日大嵐(あらし)なるに、宿(やど)の主(あるじ)もこれに往(ゆく)とて雨具(あまぐ)きびしくなしながら、今日(けふ)の仏(ほとけ)はいかなる因果(いんくわ)ものぞや
○かくていそぐほどに雪吹(ふゞき)ます/\甚しく、橇(かじき)を穿(はく)ゆゑ道(みち)遅(おそ)く日も已(すで)に暮(くれ)なんとす。此時にいたりて焼飯を売たる農夫(のうふ)は肚(はら)減(へり)て労(つか)れ、商人は焼飯に腹(はら)満(みち)足をすゝめて往(ゆく)。
○かくていそぐほどに雪吹(ふゞき)ます/\甚しく、橇(かじき)を穿(はく)ゆゑ道(みち)遅(おそ)く日も已(すで)に暮(くれ)なんとす。此時にいたりて焼飯を売たる農夫(のうふ)は肚(はら)減(へり)て労(つか)れ、商人は焼飯に腹(はら)満(みち)足をすゝめて往(ゆく)。
余(よ)越後より江戸へ皈(かへ)る時高田の城下を通(とほり)しが、こゝは北越第一の市会(しくわい)なり。商工(しやうこう)軒(のき)をならべ百物備(そなはら)ざることなし。両側一里余庇(ひさし)下つゞきたるその中を往(ゆく)こと、甚意快(いくわい)なりき。
余(よ)越後より江戸へ皈(かへ)る時高田の城下を通(とほり)しが、こゝは北越第一の市会(しくわい)なり。商工(しやうこう)軒(のき)をならべ百物備(そなはら)ざることなし。両側一里余庇(ひさし)下つゞきたるその中を往(ゆく)こと、甚意快(いくわい)なりき。