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引掴
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ひっつか
ふりがな文庫
“
引掴
(
ひっつか
)” の例文
老栓はなおも
躊躇
(
ちゅうちょ
)
していると、黒い人は提灯を引ッたくって
幌
(
ほろ
)
を下げ、その中へ饅頭を詰めて老栓の手に渡し、同時に銀貨を
引掴
(
ひっつか
)
んで
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
飢えた
蒼鷹
(
くまだか
)
が小鳥を
抓
(
つか
)
むのはこんな
塩梅
(
あんばい
)
で有ろうかと思う程に文三が手紙を
引掴
(
ひっつか
)
んで、
封目
(
ふうじめ
)
を押切ッて、
故意
(
わざ
)
と
声高
(
こわだか
)
に読み出したが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ソレ、
其処
(
そこ
)
に控へた小堀伝十郎、即ち彼ぢや。……
拙道
(
せつどう
)
が
引掴
(
ひっつか
)
んだと申して、決して不忠不義の
武士
(
さむらい
)
ではない。まづ言はば大島守には忠臣ぢや。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
中にも勘平は、自分が一走り行って見てきよう、そこらにまごまごしていたら
引掴
(
ひっつか
)
んで連れてくるとまで言いだした。が、吉田忠左衛門はしずかにそれを制して
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
「色色な貝だ」と云ったら、「見せろ」とばかり、予の収穫場へやって来て、赤貝や潮吹を見せるとむずと
引掴
(
ひっつか
)
んでそこら一面に解放し始めた。正に「貝殻追放」である。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
ト、いひつつ進みよりて、聴水が
襟頭
(
えりがみ
)
を
引掴
(
ひっつか
)
み、罠を
弛
(
ゆる
)
めてわが
膝
(
ひざ
)
の下に引き
据
(
す
)
えつ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
広巳は火鉢をすてて
床
(
とこ
)
の方へ走った。床には
刀架
(
かたなかけ
)
があって、広巳が記念の軍刀と日本刀が架けてあった。広巳は日本刀を
引掴
(
ひっつか
)
んで
執
(
と
)
り、すらりと
脱
(
ぬ
)
きながら岡本の方を
揮
(
ふ
)
り向いた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
一同はお
浜御殿
(
はまごてん
)
の石垣下まで
漕入
(
こぎい
)
ってから空腹を我慢しつつ水の上の全く暗くなるのを待ち船宿の桟橋へ
上
(
あが
)
るが否や、店に預けて置いた手荷物を奪うように
引掴
(
ひっつか
)
み、めいめい
後
(
あと
)
をも見ず
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それをまた婆さんが
引掴
(
ひっつか
)
んで行って、一層ひどくコキ使う。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
兼は真青になってその骨を
引掴
(
ひっつか
)
むと
危
(
あぶな
)
くツンノメリながら
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
慾深くも、切断された左腕さえ片手に
引掴
(
ひっつか
)
んで。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手の裏かへす無情さは、足も手もぐたりとした、
烈日
(
れつじつ
)
に裂けかゝる氷のやうな
練絹
(
ねりぎぬ
)
の、紫玉の、ふくよかな胸を、
酒焼
(
さかやけ
)
の胸に
引掴
(
ひっつか
)
み、
毛脛
(
けずね
)
に挟んで
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで今度彼の黄いろい辮子を
引掴
(
ひっつか
)
む機会が来るとその人はまず彼に言った。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
彼はよろよろと橋の
欄干
(
てすり
)
に
凭
(
もた
)
れかかって、両手に
頭髪
(
かみ
)
の毛を
引掴
(
ひっつか
)
んだまま
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
是
(
これ
)
と前後して
近江
(
おうみ
)
の
膳所
(
ぜぜ
)
の城下でも鷲が武士の子を
攫
(
さら
)
つた——此は馬に乗つて馬場に居たのを
鞍
(
くら
)
から
引掴
(
ひっつか
)
んで
上
(
あが
)
つたのであるが、此の時は湖水の上を
颯
(
さっ
)
と
伸
(
の
)
した。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「はやまった、
言
(
ことば
)
のはずみだ、
逸外
(
はやま
)
った。その
短銃
(
たんづつ
)
を、すぐに
引掴
(
ひっつか
)
んで引金を
捻
(
ひね
)
くるから殺風景だ。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝
五
(
いつ
)
つ
時
(
どき
)
の事で、
侍町
(
さむらいまち
)
の人通りのない坂道を
上
(
のぼ
)
る時、
大鷲
(
おおわし
)
が一羽、
虚空
(
こくう
)
から
巌
(
いわ
)
の
落下
(
おちさが
)
るが如く落して来て、少年を
引掴
(
ひっつか
)
むと、
忽
(
たちま
)
ち雲を飛んで行く。少年は
夢現
(
ゆめうつつ
)
ともわきまへぬ。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
掴
漢検準1級
部首:⼿
11画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引返
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出