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巌乗
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がんじょう
ふりがな文庫
“
巌乗
(
がんじょう
)” の例文
旧字:
巖乘
重太郎兄さんは朝寝が好きで、房松兄さんは鶏のように早起きで、一方は弱虫で一方は
巌乗
(
がんじょう
)
で、一方は金遣いが荒くて、一方はケチで
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その養子というのは、日にやけた色の赤黒い、
巌乗
(
がんじょう
)
づくりの
小造
(
こづくり
)
な男だっけ。何だか目の光る、ちときょときょとする、
性急
(
せっかち
)
な人さ。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
純一は国のお
祖母
(
ば
)
あ様の腰が曲って耳の遠いのを思い出して、こんな
巌乗
(
がんじょう
)
な年寄もあるものかと思いながら、一しょに這入って見た。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
薄暗いこちらの
廊下
(
ろうか
)
にいると、出窓はこの家を背景にした、大きい一枚の
画
(
え
)
のように見える。
巌乗
(
がんじょう
)
な
槲
(
かし
)
の
窓枠
(
まどわく
)
が、ちょうど
額縁
(
がくぶち
)
を
嵌
(
は
)
めたように見える。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私がその紙片の方を一寸見てる間に、刑事はす早く私に近寄ると、私の両手に繩をかけて了いました。見れば入口の外には一人の
巌乗
(
がんじょう
)
な巡査が控えているのです。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
平次は
巌乗
(
がんじょう
)
な
井桁
(
いげた
)
に手を掛けて覗いて見ました。この辺の井戸ですから石を畳み上げて立派には出来ていますが、ひどく浅い様子です。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
先生は束髪に結った、色の黒い、なりの低い
巌乗
(
がんじょう
)
な、でくでく
肥
(
ふと
)
った
婦人
(
おんな
)
の方で、私がそういうと顔を赤うした。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
血色の
好
(
い
)
い、
巌乗
(
がんじょう
)
な大村は、純一と歩度を合せる為めに、余程加減をして歩くらしいのである。小川町の通を須田町の方へ、二人は暫く無言で歩いている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
小田原町
(
おだわらまち
)
城内公園に連日の人気を集めていた
宮城
(
みやぎ
)
巡回動物園のシベリヤ産
大狼
(
おおおおかみ
)
は二十五日(十月)午後二時ごろ、突然
巌乗
(
がんじょう
)
な
檻
(
おり
)
を破り、
木戸番
(
きどばん
)
二名を負傷させた
後
(
のち
)
、
箱根
(
はこね
)
方面へ
逸走
(
いっそう
)
した。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五十六七——ちょっと見は六十以上にも見えますが、長い間戸外生活と労働で鍛えて、鉄のように
巌乗
(
がんじょう
)
なところがあります。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
肉は
干
(
ひから
)
び、皮
萎
(
しな
)
びて見るかげもないが、手、胸などの
巌乗
(
がんじょう
)
さ、
渋色
(
しぶいろ
)
に
亀裂
(
ひび
)
が入つて
下塗
(
したぬり
)
の
漆
(
うるし
)
で固めたやう、
未
(
ま
)
だ/\目立つのは鼻筋の
判然
(
きっぱり
)
と通つて居る
顔備
(
かおぞなえ
)
と。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大村と並んで歩くと、
動
(
やや
)
もすればこの
巌乗
(
がんじょう
)
な大男に圧倒せられるような感じのするのを禁じ得ない。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一本の
巌乗
(
がんじょう
)
な
梁
(
はり
)
が、その中ほどを貫通しているのを見ると、幽霊を宙乗りさせる趣向が、誰にでも浮びそうです。
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて二階に
寝床
(
ねどこ
)
を
拵
(
こしら
)
えてくれた、
天井
(
てんじょう
)
は低いが、
梁
(
うつばり
)
は丸太で
二抱
(
ふたかかえ
)
もあろう、屋の
棟
(
むね
)
から
斜
(
ななめ
)
に
渡
(
わた
)
って座敷の
果
(
はて
)
の
廂
(
ひさし
)
の処では
天窓
(
あたま
)
に
支
(
つか
)
えそうになっている、
巌乗
(
がんじょう
)
な
屋造
(
やづくり
)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二階の戸締りも厳重以上で、豊次郎に言わせると、掃除のとき開けるだけ、それに恐ろしく
巌乗
(
がんじょう
)
な
格子
(
こうし
)
があって、外から入ることなどは思いも寄りません。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
薄汚れて、
広袖
(
どてら
)
かと思う、袖口も
綻
(
ほころ
)
びて下ったが、
巌乗
(
がんじょう
)
づくりの、ずんと脊の高い、目深に
頬被
(
ほおかぶ
)
りした、
草鞋穿
(
わらじばき
)
で、裾を端折らぬ、風体の変な男があって、懐手で
俯向
(
うつむ
)
いて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金はみんな土蔵の中の恐ろしく
巌乗
(
がんじょう
)
な金箱に入れて、いちいち念入りに錠をおろしてある
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何んですかねえ、十文字に
小児
(
こども
)
を
引背負
(
ひっしょ
)
って
跣足
(
はだし
)
で
歩行
(
ある
)
いている、四十
恰好
(
かっこう
)
の、
巌乗
(
がんじょう
)
な、絵に
描
(
か
)
いた、
赤鬼
(
あかおに
)
と言った形のもののように、今こうやってお話をします
内
(
うち
)
も考えられます。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
耳を
蔽
(
おお
)
うまで髪の伸びた、色の黒い、
巌乗
(
がんじょう
)
造りの、身の丈抜群なる
和郎
(
わろ
)
一人。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婆やのお篠は、五十前後の
巌乗
(
がんじょう
)
な女で、いざとなったら、相当力もありそうですが、不思議なことに大して争った様子もなく、床から半身をのり出してはおりますが、至って平穏に死んでいるのです。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巌
漢検準1級
部首:⼭
20画
乗
常用漢字
小3
部首:⼃
9画
“巌乗”で始まる語句
巌乗造