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ごけ
ふりがな文庫
“
寡婦
(
ごけ
)” の例文
それに不思議な事には、
寡婦
(
ごけ
)
さんに耳を引張られると、国士どころか、何だか自分が鍋か兎ででもあるやうな気がする事だつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
未だうら若い
寡婦
(
ごけ
)
さんで——尤も僕よりは一つ方姉さんでしたが——健康そうな肉体を持った相当美しい女であったので
象牙の牌
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
年はまだせいぜい三十三、四だが、もう五年ばかりも前から
寡婦
(
ごけ
)
になっている。十四になる娘は足痛風を患っていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼が急に起き上って「若
寡婦
(
ごけ
)
の墓参り」という歌を
唱
(
うた
)
いながら酒屋へ行った。この時こそ彼は趙太爺よりも一段うわ手の人物に成り済ましていたのだ。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
可哀想な
寡婦
(
ごけ
)
さんが胸も潰れる思いをしながら、貧苦にあえいでいる有様を見かねてさ……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
▼ もっと見る
四十を越した、神経質な
寡婦
(
ごけ
)
が、子供をつれ、大切なものまで抱えておびえてあがるのに対して、私は、それは私もこわい、かかり合のかかり合になるのは迷惑だといえるだろうか。
田舎風なヒューモレスク
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お
品
(
しな
)
の
母
(
はゝ
)
は
百姓
(
ひやくしやう
)
としては
格別
(
かくべつ
)
の
働
(
はたら
)
きを
有
(
も
)
たなかつたから、
寡婦
(
ごけ
)
として
獨立
(
どくりつ
)
して
行
(
ゆ
)
くには
非常
(
ひじやう
)
な
困難
(
こんなん
)
でなければ
成
(
な
)
らぬだけ
身體
(
からだ
)
の
何處
(
どこ
)
にか
軟
(
やはら
)
かな
容子
(
ようす
)
があつて、
清潔好
(
きれいずき
)
な
卯平
(
うへい
)
の
心
(
こゝろ
)
を
惹
(
ひ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今度は
鰊
(
にしん
)
を買おうと思って、
寡婦
(
ごけ
)
さんのところへ行って金貨を出すと
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
人生の單調と孤獨とを
夙
(
はや
)
くから教へた無愛想な
死面
(
しめん
)
の
寡婦
(
ごけ
)
である。
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
牧師は慌てて
杖
(
ステツキ
)
を
引込
(
ひつこ
)
めた。
杖
(
ステツキ
)
といふのは、さる
富豪
(
ものもち
)
の
寡婦
(
ごけ
)
さんが贈つて来たもので、匂ひの高い木に
金金具
(
きんかなぐ
)
が贅沢に打ちつけてあつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「わたくしは
寡婦
(
ごけ
)
になって三年になります」女はぶるぶると身を震わすようにしながら、ささやき声でこう言った。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
おれは誰ひとり他人を不幸にした覚えがない。
寡婦
(
ごけ
)
のものをふんだくったこともなければ、人を破産させたこともない。おれはただ有り余った上のお
剰
(
あま
)
りを頂戴しただけのことだ。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
それでも
幼兒
(
えうじ
)
の
死
(
し
)
ぬのは
瘡
(
かさ
)
ツ
子
(
こ
)
だからといふのみで
病毒
(
びやうどく
)
の
慘害
(
さんがい
)
を
知
(
し
)
る
筈
(
はず
)
もなく
隨
(
したが
)
つて
怖
(
おそ
)
れる
筈
(
はず
)
もなかつた。お
品
(
しな
)
の
母
(
はゝ
)
は
非常
(
ひじやう
)
な
貧乏
(
びんばふ
)
な
寡婦
(
ごけ
)
で、
足
(
あし
)
が
立
(
た
)
つか
立
(
た
)
たぬのお
品
(
しな
)
を
懷
(
ふところ
)
にして
悲慘
(
みじめ
)
な
生活
(
せいくわつ
)
をして
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
少し馴染が重なつて来ると、
寡婦
(
ごけ
)
さんは時々妙な事をし出した。それは
会話
(
はなし
)
の途中で一寸中野氏の耳を引張る事なのだ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
寡婦
(
ごけ
)
で、世事にはうとい女のことでございますもの、あんたさん、正直なところ、ちっとも訳の分らない、ああいうことで妾を騙かすのは、そりゃもう朝飯まえのことでござんすよ。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「酒かい。」徳蔵氏は
寡婦
(
ごけ
)
さんのやうな悲しさうな声をした。「酒もこの頃では余りやらん事に決めとるよ、まあ
杯
(
さかづき
)
に五六杯といふところかな。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
なにせ妾は
寡婦
(
ごけ
)
のことで、死んだ農奴が一体どのくらいの相場やら、とんと知らないのでございますよ。なあ、お前さま、どうか、せめてのことに、正真正銘の値段だけでも聴かせておくんなんしょ。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
爺さんは、
寡婦
(
ごけ
)
さんのすげない返事が悲しいと言つて、心の臓が干葡萄のやうに
萎
(
しな
)
びるまで
悄気
(
しよげ
)
きつてゐたが、とうと
身体
(
からだ
)
を悪くして死んでしまつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「なにせ妾は、世間知らずの
寡婦
(
ごけ
)
のことだからね! いっそ、もう少し待ってみますわい、ひょっとしたら、もっと他の
商人
(
あきんど
)
がやって来るかもしれませんからもう一度値をあたってみることにして。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その次ぎの日も、
寡婦
(
ごけ
)
さんは
談話
(
はなし
)
がはずむと、ひよいと手を延ばして厭といふ程中野氏の耳を引張つた。国士は顔をゆがめながら、いきなり
衝立
(
つゝた
)
ち上つた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「十等官の
寡婦
(
ごけ
)
で、コローボチカといいますんで。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
してみると、氏が若い
寡婦
(
ごけ
)
さんを、後妻に貰つたのは、経済の立場から見ても聞違つた事ではなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
二人はこんな事で若い
寡婦
(
ごけ
)
を嬉しがらせる事なら、自分達の顔一杯
楽書
(
らくがき
)
をしても苦しくないと思つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「添田など何だつてあんなに意気地が無いんだらう。鳩山の
寡婦
(
ごけ
)
に口説き落されるなんて。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
最近
匈牙利
(
ハンガリー
)
のブダペストで珍しい事件があつた。それはある
寡婦
(
ごけ
)
さんが自分に結婚を申し込んだ男を
拒絶
(
はねつ
)
けたから起きた事なので、男は当年取つて八十九歳の爺さんだつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
欧羅巴
(
ヨーロツパ
)
戦争は、交戦国に
寡婦
(
ごけ
)
さんをたんと
拵
(
こしら
)
へたやうに、日本には成金をたんと生み出して呉れた。
寡婦
(
ごけ
)
さんと成金と、どちらも新生活の
翹望者
(
げうばうしや
)
たる点において同じである。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「やあ、
那処
(
あすこ
)
にいつもの
両替
(
りやうかへ
)
屋の
寡婦
(
ごけ
)
が見える。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“寡婦”の意味
《名詞》
寡 婦(かふ、やもめ)
夫と死別または離婚して再婚していない女性。
(出典:Wiktionary)
寡
常用漢字
中学
部首:⼧
14画
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
“寡婦”で始まる語句
寡婦暮
寡婦様
寡婦鶏
寡婦殉死