でけ)” の例文
「ところで、はい、あのさ、石彫いしぼりでけえ糸枠の上へ、がっしりと、立派なお堂を据えて戸をあけたてしますだね、その中へこの……」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「時々、裏山へひょこひょこ登って行っちゃあ、大谷原やじゃヶ池の辺で、たんだ独りぼっちで、でけえ声出してわめいているってえこったもの」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
婆「何だかお医者がいて来まして膏薬こうやくると、これがでけえ薬になる、毒と云うものも、使いようで薬に成るだてえました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
われあでけえ男になつた
でけえからなあ!」
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
飛んでもねえ嫉妬野郎やきもちやろうだ。でけい声を出してお帳場を呼ぼうかね、旦那さん、どうするね。私が一つ横ずっぽうりこくってやろうかね。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母「おゝ、でけえ観音様のお堂だ、南無大慈大悲の観世音菩薩様少々此処こゝを拝借しまして、此処で少し養生致します。さア惣吉力一ぺえ押せよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
親父が塩梅あんべいが悪いので手前てめえ往って仕切を取ってうというので、仕切を取りに来ましたよ、なあんに取引先きは神田佐久間町の善右衞門が一番でけえから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「こんなでけい内で、手を敲いたって何が聞えるかね。電話があるでねえか、それでお帳場を呼びなさいよ。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
着物も何だか知んねえ物を着て来たんだ、年い十八じゃアなりでけえな、それ娘のおわかよ、とっさまに似てえるだ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬も別れを惜んで泣きやんした、わしも馬の泣いたのを初めて見やんしたが、でけい眼から涙を砂原にパラ/\と落しやんした時には、わしい人に別れるより辛くって
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
でけえ穴にはなったが疵口が癒ってしまって、達者になったのだ、寿命のある人は別なもんか、助かるめいと思ったおめいさんが此様こんなにでかくなったのにゃア魂消やした
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうかあの皆さん相宿の方に病人がありやすから、あんまでけえ声をして、わア/\笑わないように、喧しいと病人が眠り付かねえで困るだから、しずかになさえましよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其様そんな事べえ云ってハア手におえねえのサ、もっとでけ負傷けがアして片輪になる者さえあるだに、左様そう心配しんぺえしねえがえと云うが、あれっけえ時から内気だから、ハア
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「ハア六十になれば年分ねんぶんにはでけえ事になりやすが、一ヶ月で幾許いくらになりやす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此のでけ身代しんでいさわる事もありますまい、人の難儀を救わねえのが開化のならいでございますか、私は旧弊の田舎者で存じませぬ、もう再び此のうちへはまいりません只今貴方のおっしゃった事は
直に吉浜から江の浦小田原と手分てわけえして尋ねたが知んねいでしまった、何でも山越しに箱根の方へげたこんだろうとあとで評議イしたことサ、孩児は背中の疵がでけえに血がえらく出たゞから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うしろ振返ふりけえり/\行く………見ろよ…………あゝ誰かでけえ馬ア引出しやアがって、馬の蔭で見えなくなった、馬を田のくろ押付おッつけろや…あれまア大え庚申塚こうしんづかが建ったな、れア昔からある石だが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
側に女さア附いているだて撃つことが出来ねえだ、己アでけえ声で、女郎めろう退けやアとがなっても退かねえでな、手を合せて助けてくれちッて泣くでえ、女郎退かねえばっ殺すぞと云っても逃げねえだ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
助「はい御免、でけい鏡だなア、髪結うかねえ」