大磐石だいばんじやく)” の例文
けれど大磐石だいばんじやくの如く腰をゑた儘、更に体を動かさうとも為ないので、仕方がなく、傍の二三人に助勢させて、無理遣りに其席から引摺上ひきずりあげた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
まへに、幾処いくところか、すさまじきとびらおもふ、大磐石だいばんじやく階壇かいだんは、たきだんかずおとしかけ、つるたきは、自動車じどうしやそらる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分で大國主の命となつてそのわたしのむすめのスセリ姫を正妻として、ウカの山の山本に大磐石だいばんじやくの上に宮柱を太く立て、大空に高く棟木むなぎを上げて住めよ、このやつ
天下安定の重鎮としては大磐石だいばんじやくであつたから、平和に飢ゑてゐた人心は、これに帰して行つたのである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
この乱流の間によこたはりて高さ二丈に余り、そのいただきたひらかひろがりて、ゆたかに百人を立たしむべき大磐石だいばんじやく、風雨に歳経としふはだへ死灰しかいの色を成して、うろこも添はず、毛も生ひざれど、かたち可恐おそろしげにうづくまりて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
始はそれもさばかりに、え堪へまじいとは覚えなんだが、やがて河の真唯中へさしかかつたと思ふほどに、白衣のわらんべが重みはいよいよいて、今はあたか大磐石だいばんじやくを負ひないてゐるかと疑はれた。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
苔蒸こけむす欄干らんかんがくれに、けた蔦蔓つたづるめたのが、前途ゆくてさへぎるのに、はし彼方かなたには、大磐石だいばんじやくかれて、急流きうりう奔湍ほんたんと、ひだりよりさつち、みぎよりだうくゞり、真中まんなか狂立くるひたつて
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)