夜明よあか)” の例文
高祖頭巾こそずきんかむり、庭下駄を履いたなりで家を抜け出し、上野の三橋さんはしの側まで来ると、夜明よあかしの茶飯屋が出ていたから、お梅はそれへ来て
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はて、其前そのぜんには、もそっと些細ささいことで、いくたびも夜明よあかしをしたものぢゃが、つひ病氣びゃうきなぞになったことはいわい。
今川橋いまがはばしきは夜明よあかしの蕎麥掻そばがきをそめころいきほひは千きんおもきをひつさげて大海たいかいをもおどえつべく、かぎりのひとしたいておどろくもあれば、猪武者いのしゝむしやむか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
本堂の廊下には此処ここ夜明よあかししたらしい迂散うさんな男が今だに幾人も腰をかけていて、その中にはあかじみた単衣ひとえ三尺帯さんじゃくおびを解いて平気でふんどしをしめ直しているやつもあった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ぬばたまの夜明よあかしも船はぎ行かな御津の浜松待ち恋ひぬらむ」(巻十五・三七二一)、「大伴の御津のとまりに船てて立田の山を何時か越えかむ」(同・三七二二)とあるのは
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
わっちが上野の三橋側の夜明よあかしの茶飯屋のところで、立派な身形みなり新造しんぞが谷中長安寺への道を聞いてるんで、てっきり駈落ものとにらんで横合から飛び出し、私もね
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本堂の廊下らうかには此処こゝ夜明よあかししたらしい迂散うさんな男が今だに幾人いくにんこしをかけてて、の中にはあかじみた単衣ひとへ三尺帯さんじやくおびを解いて平気でふんどしをしめ直してゐるやつもあつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
もとより奧樣おくさま派手はでつくりに田舍いなかものゝ姉者人あねじやひとがいさゝかたるよしはけれど、中學校ちうがくかう試驗しけんまへ夜明よあかしをつゞけしころこのやうなことふて、このやうな處作しよさをして、其上そのうへには蕎麥掻そばがきの御馳走ごちそう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夜明よあかしに這入って酒え飲んで、転がっちゃった、処がその客は私ア縁が切れては居るが、かたづいているいもと亭主ていしだ、それとは知らねえでおまはんから何うも………あとは妹一人で仕様が
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)