あら)” の例文
やがて慇懃いんぎんに札を施し「旦那だんな、失礼なこと伺ふ様ですが、失つ張り此の山のかたあらつしやりますか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
たのみける故七右衞門は委細呑込のみこみ然る上はすけ十郎樣郷右衞門樣とても此方こなたあられては宜しからず御兄弟樣の御供して手前の方へ御越おこしなさるべしとてばん建部たてべ夫婦の者もともに主從都合六人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こひ」の玉座ぎよくざは、さはいへど、そこにしもあらじ、そらとほ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
左様さやうで御座りまするか」と老人はひざの下までかしらを下げつ「先刻からお見受け申す所が、長左衛門様生写いきうつしあらつしやるから、左様さうではあらつしやるまいかと考へましたので」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
出して饗應もてなしけれども心こゝあらざれば見れども見えずの道理だうりにて重四郎はお浪にのみ心をうばはれ居たりしゆえうついしにはとまらず初めのもろまけけるに平兵衞は大に悦びて手水てうずたちしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「恋」の玉座ぎよくざは、さはいへど、そこにしもあらじ、空遠く
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
伯母御様をばごさまは御達者であらつしやりまするか、永らく御目通りも致しませぬが——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
忘る蓬莱ほうらい仙境せんきやうも斯るにぎはひはよも非じと云ふべき景況ありさまなれば萬八樓よりそれたる一同は大門内おほもんうち山口巴やまぐちともゑと云引手茶屋へをどこめば是は皆々樣御そろひで能うこそおいであられしぞ先々二階へいらつしやいと家内の者共喋々てふ/\しき世事の中にも親切しんせつらしく其所そこ其所こゝよと妓樓まがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)