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土地柄
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とちがら
『
女人禁制の
土地柄、
格別のおもてなしとてでき
申さぬ。ただいささか
人間離れのした、一
風変っているところがこの
世界の
御馳走で……。』
進みて私し江戸に在りし時は
全盛の
土地柄故主人の
光りにて百五十兩の金子に有り附き古郷へ歸り
舊の
田畑を
受戻し家を
これに
觸れる
人は
自から
睡眠を
催ふすほどの、だらりとした
心地の
好い
土地柄の
故でもあらう。
私たちは、
蝙蝠傘を、
階段に
預けて、——
如何に
梅雨時とはいへ……
本來は
小舟でぬれても、
雨のなゝめな
繪に
成るべき
土地柄に
對して、かう
番ごと、
繻子張を
持出したのでは
まさか
土地柄、気性柄蝶子には出来なかったが、といって、
私を芸者にしてくれんようなそんな
薄情な親テあるもんかと泣きこんで、あわや
勘当さわぎだったとはさすがに本当のことも言えなんだ。
いふまでもなく
極月かけて
三月彼岸の
雪どけまでは、
毎年こんな
中に
起伏するから、
雪を
驚くやうな
者は
忘れても
無い
土地柄ながら、
今年は
意外に
早い
上に、
今時恁くまで
積るべしとは
盡し難く
別て神田は
土地柄とて人の心も
廣小路横筋違いの僻みなき
直なる橋の名の如く
實に
昌平の御代なれや
甍双べし軒續き客足絶ぬ
店先は津國屋松右衞門とて小間物を商ひ
相應の
活計を