善良ぜんりやう)” の例文
御米およね善良ぜんりやうをつと調戯からかつたのを、多少たせうまないやうかんじた。宗助そうすけその翌日あくるひすぐもらつていた紹介状せうかいじやうふところにして、新橋しんばしから汽車きしやつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
相当さうたう身柄みがらいへそだつただけに青木さん夫婦ふうふ相方さうはう共に品のいい十人なみ容姿ようし持主もちぬしで、善良ぜんりやう性格せいかくながらまた良家りやうかの子らしい、矜と、いくらかえをるやうな氕質きしつもそなへてゐた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ところ勿論もちろん秩序ちつじよなく、寐言ねごとのやうで、周章あわてたり、途切とぎれてたり、なんだか意味いみわからぬことをふのであるが、何處どこかにまた善良ぜんりやうなる性質せいしつほのかきこえる、其言そのことばうちか、こゑうちかに
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おやとしてまたともとしての善良ぜんりやうこゝろをもつて。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
や或るひは面體めんてい惡氣にくげに心は善良ぜんりやうるもあり或ひに面體めんてい柔和にうわにして胸中きようちう大膽不敵だいたんふてきなる者有所謂いはゆる外面如菩薩げめんによぼさつ内心ないしん如夜刄によやしやほとけも説給ひし如し然れば其面體めんてい柔和にして形容なりかたち柔和おとなしやかなる者の言事は自然と直なる樣に聞ゆれども其事は邪心じやしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)