名乘なの)” の例文
新字:名乗
自ら不良少女と名乘なのることによつてわずかになぐさんでゐる心のそこに、良心りやうしん貞操ていさうとを大切にいたわつているのを、人々は(こと男子だんしおいて)
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
張作霖てうさくりん如何いかなる場合ばあひにも作霖張さくりんてうとは名乘なのるまい。李鴻章りこうせう世界せかい何國なにぐにひとにも鴻章李こうせうりばれ、またはかれたことがない。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
坂井さかゐ道具屋だうぐや素性すじやうつてゐた。出入でいり八百屋やほや阿爺おやぢはなしによると、坂井さかゐいへ舊幕きうばくころなんとかのかみ名乘なのつたもので、この界隈かいわいでは一番いちばんふる門閥家もんばつかなのださうである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
折角せつかくたものをたゞかへさぬ。やつこづ、名乘なのれ。なんふ、何處どこ青二歳あをにさいだ。」
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「下手人が名乘なのつて出たんだ。こいつが大變でなかつた日にや」
るといふだらう。われ、それであると名乘なのひともあるだらう。
名乘なのらせぬ、さて夫婦ふうふ所志おもふよしをかたりけれ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
名乘なのるやと咎むれば山内答へて越前守殿よく聞かれよ此の山内の身分は浪人はおろか如何に零落れいらくするとも正四位上中將の官は身に備りたりと云ふにぞ越前守は大音聲にだまれ山内其方以前は九條家でうけの家來とあれば正四位上中將の官爵も有べけれど退身すれば官位はさしおかねば成ぬ筈なり然るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これはつてわがはいが「國語尊重こくごそんちよう」の題下だいかでわがくに國號こくがう日本にほんであるのに、外人ぐわいじん訛傳くわでん追從つひじうしてみづからジヤパンと名乘なのるのは國辱こくじよくであるとろんじたのとおな筆法ひつぱふ
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)