反映はんえい)” の例文
一杯いつぱいあをしげつた桑畑くはばたけなどしろおほきな菅笠すげがさあかおびとの後姿うしろすがたが、ことにはそらからげるつよ日光につくわう反映はんえいしてあかおびえるやうにえたり
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかし、ふすまのまえに、畳にへばり付いている人影は、身うごきもしないのだ。顔を隠すように俯伏うつぶせた額部ひたいに、燭台のが蒼白く反映はんえいしている。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すでに馬糧小屋まぐさごやの火は屋根やねから空へもえけて、あかあかとした反映はんえい躑躅つつじさきたい建物たてものらした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
迎へてくれたのは、庭の青葉を反映はんえいして、顏色は青白く沈んで居りますが、八五郎が全語彙ボキヤブラリーを動員して形容したほどあつて、これは錢形平次にも息を呑ませたきりやうです。
初夏はつなつひかりらされて、そのあか馬車ばしゃは、いっそうあざやかに、いろえてられました。そして、あおうみいろ反映はんえいして、うつくしかったのでした。馬車ばしゃはしって、はしっていきました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その間に篏められた大きな姿見が、部屋と寢臺の空漠ないかめしさを反映はんえいしてゐた。私は、ぢやうおろしていつたどうか、はつきり判らなかつたので、動く勇氣の出た時に、起き上つて、調べにいつた。
そのおなじ日の落ちゆく陽脚ひあしをいそいで、まだ逆川さかさがわ夕照ゆうでりのあかあかと反映はんえいしていたころ、小夜さよ中山なかやま日坂にっさかきゅうをさか落としに、松並木まつなみきのつづく掛川かけがわから袋井ふくろい宿しゅくへと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分の落胆らくたん失望しつぼうが、どれほど忠節ちゅうせつな人々のむね反映はんえいするかをよく知っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)