力量ちから)” の例文
こちらの世界せかいてもすべては修行しゅぎょう次第しだいで、呑気のんきあそんでいたのでは、けっして力量ちからがつくものではないようでございます。
女といふものはよく目端の利くもので、平素ふだんから良人をつとの腕前はちやんと見貫みぬいてゐるから、その力量ちから一つでとて背負しよひ切れないと見ると、直ぐ神様のとこへ駈けつける。
あの繊細かよわい、細い腕から、どうしてあんな恐ろしい、男も及ばぬ力量ちからが出るかと、怪しまるるばかりで御座いますが、実は人間というものは、どんな優しい御婦人でも
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
じつこのあひだときつひやことぷんか、十五ふん人間にんげん一生懸命いつせうけんめいになると、隨分ずいぶん力量ちからるものだよ。
今御身が相を見るに、世にもまれなる名犬にして、しかも力量ちから万獣ばんじゅうひいでたるが、遠からずして、抜群の功名あらん。某この年月としつき数多あまたの獣に逢ひたれども、御身が如きはかつて知らず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
亡くなられし男爵は英雄はだの人物だけ、迷惑にもまたどこやらに小気味よきところもありたるが、それほどの力量ちからはなしにわけわからず、狭くひがみてわがまま強き奥様よりでては
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
人間が一生懸命になるというは怖しいもので、重いもの一つ持ったことのないお若、もとより力量ちからのあろう筈はございませんが、恐いと申す一心でドーンと突いた力はすさまじい、勘太は
そこまでは、一しん不乱ふらんになって統一とういつをやればどうやらわたくしどもにも接近せっきんされぬでもありませぬが、それからおくはとてもわたくしどもの力量ちからにはおよびませぬ。
或時は角闘すもうを取らせ、または競争はしりくらなどさせて、ひたすら力業ちからわざを勉めしむるほどに。その甲斐ありて黄金丸も、力量ちからあくまで強くなりて、大概おおかたの犬とみ合ふても、打ち勝つべう覚えしかば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
そうかそれが、力量ちからアえれえから其の相撲取をたのむより仕様がねえと、母親おふくろは年いってるが、此の人をつれて江戸へくべえと出て来るみちで、小金原こがねっぱらの観音堂で以てからに塩梅あんべえが悪くなったから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
じいさま、それはんでもないことでございます。わたくしなどはまだ修行中しゅぎょうちゅう力量ちからといい、また行状おこないといい、とてもそんな資格しかくのあろうはずがございませぬ。