六三ろくさ)” の例文
「鬼神お松」「鈴木主水もんど」「おその六三ろくさ」「明がらす」など、その当り作として知らる。浄瑠璃にも有名の作少なからず。
明治演劇年表 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
馬廻うままはりに美男びなんきこえはれど、つき雲井くもゐちり六三ろくさなんとして此戀このこひなりたちけん、ゆめばかりなるちぎ兄君あにぎみにかヽりて、遠乘とほのり歸路かへりみち野末のずゑ茶店ちやてんをんなはらひて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかし大方は四十を越した老人としよりばかりなので、あの般若の留さんは音羽屋おとわやのやった六三ろくさ佐七さしちのようなイキなイナセな昔の職人の最後の面影をば、私の眼に残してくれた忘れられない恩人である。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そのおかげで、わたしは七歳にして、もうおその六三ろくさの“誓いは二世と三世相”や、小夜衣さよぎぬ千太郎の“秋のかわずの声枯れて”などを無心に暗記するようになった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
因果いんぐわふくめしなさけことばさても六三ろくさ露顯ろけんあかつきは、くびさしべて合掌がつしやう覺悟かくごなりしを、ものやはらかにかも御主君ごしゆくんが、げるぞ六三ろくさやしき立退たちのいてれ、れもあくまで可愛かあゆ其方そち
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
六三ろくささん。お前、どうしても江戸へ行く気かえ」と、お園は男の肩に手をかけて今更のように念を押した。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
六三ろくさいとまつたくより、こヽろむすぼほれてくることく、さて慈愛じあいふかき兄君あにぎみつみともはでさし置給おきたま勿体もつたいなさ、七万石ひちまんごくすゑうまれておやたまとも愛給めでたまひしに、かはらにおとる淫奔いたづらはづかしく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
六三ろくさ。よく達者でいてくれた。おれは親父おやじの九郎右衛門だ」
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)