あにき)” の例文
今日はあにきの機嫌はどうだなんて、よくおっしゃってたものですよ、それが昨年の暮比からみょうに黙りこんで、いやな物でも眼前めのまえにいるようにしてるのですよ
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
位牌と婚礼させるなんてえ馬鹿/\しい事が、い年をして己の口から万年町のあにきに云えますか、私には云えない、本当に馬鹿な話だから、サッサと帰しなよ
あにきの子だけあって、中々抜けないな。だから今チョコレートを飲まして遣るから好いじゃないか」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
上人様に虚言は無い、折角望みをかけた工事を半分他に呉るのはつく/″\忌〻しけれど、嗚呼、辛いが、ゑゝあにきだ、ハヽヽ、お吉、我はのつそりに半口与つて二人で塔を建てやうとおもふは
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
母「そんなに小言云わねえがえってに、其処そこやめえだからハア手におえねえだよ、あにきどんの側に居ると小言を云われるからおれが側へ来い、さア此方こっちへ来い、/\」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さうして代助には一口ひとくち小言こごとも云はなかつた。代助は其時から、あにきに恐縮して仕舞つた。其後そののち小遣こづかひこまる事はよくあるが、困るたんびにあによめいためて事を済ましてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御慈悲の深い上人様はの道おれ好漢いゝをとこにして下さるのよ、ハヽヽ、なあお吉、弟を可愛がれば好いあにきではないか、腹のつたものには自分が少しは辛くても飯を分けてやらねばならぬ場合もある
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そんなに謝らなくってもえよ、先達はおめえさんにえれえ事を云いましたが、若草はわしのためには一人のめいで、実は私のあにきは鋏鍛冶をして江戸の湯島に居やしたが
あにきの子丈あつて、中々なか/\けないな。だから今チヨコレートをましてるからいぢやないか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我は火の玉のあにきがところへ遊びに行たとお吉帰らば云ふて置け、と草履つつかけ出合ひがしら、胡麻竹の杖とぼ/\と焼痕やけこげのある提灯片手、老の歩みの見る目笑止にへの字なりして此方へ来る婆。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
兼「なんだか分りやせんが、生憎あにきえゝ長二が留守ですから、手紙もみんな置いてっておくんなせえ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
代助はその時から、あにきに恐縮してしまった。その後小遣に困る事はよくあるが、困るたんびに嫂を痛めて事を済ましていた。従ってこう云う事件に関して兄との交渉は、まあ初対面の様なものである。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あにきもねえもんだ、あにきたぬき)の腹鼓はらつゞみが聞いてあきれるとぬかしやアがるから、やい畜生ちくしやう手前てめえ懶惰者なまけもんでべん/\と遊んでゐるから、何処どこ奉公ほうこうつたつて置いてくれる者もないから
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それにおしげあにきだもの、岡田さん」と今度は自分が口を出した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
畑の花でも見て居たらちったア気がれようと、今あにきどんと相談して居たゞ、えゝ、さア此処こゝへ坐ってヨウ、よく出ていッけナ、心配しんぺえしてはいけぬ、気を晴らさなければいかねえヨウ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あためえでさあ。本家のあにきたあ、仲がわるしさ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おおかたあにきからでも聞いたんだろう
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大方おほかたあにきからでも聞いたんだらう
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)