仕事衣しごとぎ)” の例文
かれ鬼怒川きぬがは高瀬船たかせぶね船頭せんどう衣物きものかとおもやうくも/\ぎだらけな、それも自分じぶんつくろつて清潔きれいあらざらした仕事衣しごとぎ裾長すそなが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
嘉吉と丸田の二人もやがて工場から戻つて来た。嘉吉は木戸口を入る時、直ぐそれと感づいて、いつになく、仕事衣しごとぎを先づ着替へて、それから座敷へ行つて一通りの挨拶を客にした。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
土間には、こま/\した農具やどろのついた彼の仕事衣しごとぎやが一方の壁に立かけたりぶら下げたりしてあつた。一つの隅に囲炉裏ゐろりが設けられ、それを取まいて三四脚の粗末な椅子いすが置かれてあつた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
穿うがちたるいと立派なる服をかざり胸には「レジョン、ドノル」の勲章をきらめかせてほかより帰ると見たるにそのわずか数日後に彼れは最下等の職人がまとごときたならしき仕事衣しごとぎに破れたる帽子をいたゞきて家を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
勘次かんじもおつぎもうす仕事衣しごとぎにしん/\とこほしもつめたさと、ぢり/\とこがすやうなあつさとを同時どうじかんじた。與吉よきち火傷やけどつめたさがみた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一応宿へ帰つて仕事衣しごとぎを着替へて、それから出頭した。受附の上等兵は彼の姓名を聞き取ると、待つ間もあらせず今一人の上等兵が早速彼を廊下の果ての留置場の方へつぱつて行つた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
二三にんちひさな療治れうぢんで十二三のをとこ仕事衣しごとぎまゝな二十四五の百姓ひやくしやうはれて醫者いしやまへゑられた。醫者いしや縁側えんがはあかるみへ座蒲團ざぶとんいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)