)” の例文
年表には「東風にて西神田町一圓に類燒し、又北風になりて、本銀町ほんしろかねちやう本町ほんちやう石町こくちやう駿河町するがちやう室町むろまちの邊に至り、夜下刻げこくしづまる」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
二十、打手のかかり候はの刻頃と存じ候。お屋敷の表は河北石見預り、裏の御門は稲富伊賀預り、奥は小笠原少斎預りと定まり居り候。
糸女覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それはいつの年も霜月のに行はれることにきまつてゐた。その日が来ると、父は鋸を手に、私はまた手ぶらでその秋実のりの乏しかつた柿の木の下に立つた。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
四十二の厄年が七年前に濟んだひつじ八白はつぱくで、「あんたのおとつつあんと同い年や」と言つてゐるが、父に聞くと、「やいや、乃公おれ四緑しろくで、千代さんより四つ下や」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
手間取てまどり大森おほもりの邊りに來りし頃ははやこくなれば御所刑場おしおきばあたりは往來わうらいの者も有まじとおも徐々そろ/\來懸きかゝりしに更と云殊に右の方は安房あは上總かづさ浦々うら/\まで渺々べう/\たる海原うなばらにして岸邊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
湯崗子左の窓に入りくるはかぐろきの子右は落日らくじつ
過るころ天地あめつちも砕けぬばかりのおどろ/\しき音して地ふるふに、枕上まくらがみ燈火ともしび倒れやせむと心許なく、臥したるままにやをら手を伸べつつ押さへぬ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
させさらばとて西濱の港より友綱ともつなとき順風じゆんぷう眞帆まほ十分に引上ひきあげ走らせけるにぞ矢をる如く早くも中國四國の内海ないかい打過うちすぎ晝夜の差別さべつなくはしり晦日みそかの夜のこくごろとは成れり船頭せんどう杢右衞門はやうや日和ひより
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はもう下刻げこくであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)