一廻ひとまは)” の例文
其處そこ町屋まちやを、うま沓形くつがた一廻ひとまはりして、振返ふりかへつたかほると、ひたひかくれてくぼんだ、あごのこけたのが、かれこれ四十ぐらゐなとしであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうして地震ぢしんおほきければおほきいほど地震波ぢくんぱおほきいので、これが地球ちきゆう表面ひようめん沿うて四方八方しほうはつぽうひろがり、あるひ地球ちきゆう一廻ひとまはりも二廻ふたまはりもすることもあるが
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
つき此地球このちきう周圍まはりまはるものにて其實そのじつは二十七日と八ときにて一廻ひとまはりすれども、地球ちきうつきとの釣合つりあひにて丁度ちやうど一廻ひとまはりしてもとところかへるには二十九日と十三ときなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
それで、比較的ひととほらない、閑静な曙町あけぼのちやうを、一廻ひとまはり散歩しやうぢやいかと女をいざなつて見た。所が相手は案外にも応じなかつた。一直線に生垣いけがきあひだ横切よこぎつて、大通おほどほりへた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは青や赤で塗つた箱馬車に子供を乗せて、一つの町を一廻ひとまはりして、降ろす時に豆と紙旗を与へるのでした。馬は真実ほんたうのでなく、紙ばかりでやはり赤や青で塗られたものでした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ぐるりと一廻ひとまはりして、いつしよいはほえぐつたやうなとびら真黒まつくろつてはいつたとおもふと、ひとつよぢれたむかざまなる階子はしごなかほどを、灰色はいいろうねつてのぼる、うしまだらで。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)