“やけあと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
焼跡55.6%
燒跡11.1%
燒趾5.6%
焦痕5.6%
焼址5.6%
焼痕5.6%
焼迹5.6%
燒痕5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まだ鉄砲ややりを持つてゐる十四人は、ことばもなく、稲妻形いなづまがた焼跡やけあとの町をつて、影のやうにあゆみを運びつつ東横堀川ひがしよこぼりがは西河岸にしかしへ出た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
せめて燒跡やけあとなりとも弔はんと、西八條の方に辿り行けば、夜半よはにや立ちし、早や落人おちうどの影だに見えず、昨日きのふまでも美麗に建てつらねし大門だいもん高臺かうだい、一夜の煙と立ちのぼりて、燒野原やけのはら
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
東隣ひがしどなり主人しゆじんにはには村落むらもの大勢おほぜいあつまつておほきな燒趾やけあと始末しまつ忙殺ばうさつされた。それでその人々ひと/″\勘次かんじにはさうとはしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
燒趾やけあとはひから青銅せいどうのやうにかはつた銅貨どうくわはぽつ/\とけたかはのこしてあざやかな地質ぢしつけてた。かれはそれをちかづけてしばら凝然ぢつ見入みいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とまた昔日の元気に似ず、今日に限りて座蒲団ざぶとんの汚れがことに目立ち、畳の焦痕やけあとにわかに拡がりしように覚ゆ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
応天門の焼址やけあとの附近で、人から、あれが常平太貞盛である、おまえとは同郷らしい——と教えられたことがあり、近づいて、せめて、挨拶でもしようと思ったところが、何か
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
煙草たばこ焼痕やけあとあられ模様。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
まるで焼迹やけあとのようじゃありませんかと、正直な事を答えると、あすこはね、軍用地だものだから建物をこしらえる訳に行かないんで、誰もそう云う感じがするんですと教えられた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
燒痕やけあとのない方の半面はクワツと血に燃えて、どんな犧牲でも忍びさうな、この女の馬鹿正直さが、人を壓倒するのでした。