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げいにん
太夫が
締めて
踊ったとて、おせんの
色香が
移るという
訳じゃァなし、
芸人のつれあいが、そんな
狭い
考えじゃ、
所詮うだつは
揚がらないというものだ。
と、ここに
竹童が、にわか
芸人の
口上をうつして、
弁にまかせてのべ立てると、
万千代はじめ、とんぼ
組、パチパチと手をたたいて
無性にうれしがってしまった。
旦那さまだとて
金滿家の
息子株が
藝人たちに
煽動られて、
無我夢中に
浮かれ
立つとは
事が
違ふて
心底おもしろく
遊んだのではありますまい、いはゞ
疳癪抑へ、
憂さ
晴らしといふやうな
譯で
又御贔負をの
嬌音これたやすくは
買ひがたし、
彼れが
子供の
處業かと
寄集りし
人舌を
卷いて
太夫よりは
美登利の
顏を
眺めぬ、
伊達には
通るほどの
藝人を
此處にせき
止めて、
三味の
音、
笛の
音