トップ
>
鼓草
>
たんぽぽ
ふりがな文庫
“
鼓草
(
たんぽぽ
)” の例文
不忍池
(
しのばずのいけ
)
を左に、三枚橋、山下、
入谷
(
いりや
)
を一のしに、土手へ飛んだ。……当時の事の趣も、ほうけた
鼓草
(
たんぽぽ
)
のように、散って、残っている。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
川音がタタと
鼓草
(
たんぽぽ
)
を打って花に日の光が動いたのである。濃く
香
(
かぐわ
)
しい、その
幾重
(
いくえ
)
の
花葩
(
はなびら
)
の
裡
(
うち
)
に、
幼児
(
おさなご
)
の姿は、二つながら吸われて消えた。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暖
(
あたたか
)
い、
優
(
やさ
)
しい、
柔
(
やわら
)
かな、すなおな風にさそわれて、
鼓草
(
たんぽぽ
)
の花が、ふっと、
綿
(
わた
)
になって消えるように
魂
(
たましい
)
がなりそうなんですもの。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼓草
(
たんぽぽ
)
の花の散るように、娘の
身体
(
からだ
)
は幻に消えても、その黒髪は、
金輪
(
こんりん
)
、奈落、長く深く残って朽ちぬ。
百年
(
ももとせ
)
、
千歳
(
ちとせ
)
、
失
(
う
)
せず、枯れず、次第に伸びて艶を増す。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道々お摘みなすった
鼓草
(
たんぽぽ
)
なんぞ、馬に投げてやったりなさいましたのを、貞造が知っています。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
うつゝに
漕
(
こ
)
げば、うつゝに
聞
(
き
)
こえて、
柳
(
やなぎ
)
の
土手
(
どて
)
に、とんと
當
(
あた
)
るや
鼓
(
つゞみ
)
の
調
(
しらべ
)
、
鼓草
(
たんぽぽ
)
の、
鼓
(
つゞみ
)
の
調
(
しらべ
)
。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
うの花にはまだ早い、山田
小田
(
おだ
)
の
紫雲英
(
げんげ
)
、
残
(
のこん
)
の菜の花、並木の随処に相触れては、
狩野
(
かの
)
川が
綟子
(
もじ
)
を張って青く流れた。
雲雀
(
ひばり
)
は石山に高く
囀
(
さえず
)
って、
鼓草
(
たんぽぽ
)
の綿がタイヤの
煽
(
あおり
)
に散った。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
粗
(
あら
)
く、
疎
(
まばら
)
に、
巨石
(
おおいし
)
の
面
(
おもて
)
にかかって、ぱッと
鼓草
(
たんぽぽ
)
の花の散るように濡れたと思うと、松の
梢
(
こずえ
)
を虚空から、ひらひらと降って、胸を
掠
(
かす
)
めて、ひらりと
金色
(
こんじき
)
に飜って落ちたのは
鮒
(
ふな
)
である。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
松島の道では、
鼓草
(
たんぽぽ
)
をつむ道草をも、溝を
跨
(
また
)
いで越えたと思う。ここの水は、牡丹の
叢
(
むら
)
のうしろを流れて、山の根に添って荒れた麦畑の前を行き、一方は、
角
(
つの
)
ぐむ
蘆
(
あし
)
、茅の芽の漂う水田であった。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雛
(
ひな
)
——
女夫雛
(
めおとびな
)
は言うもさらなり。
桜雛
(
さくらびな
)
、
柳雛
(
やなぎびな
)
、
花菜
(
はなな
)
の雛、桃の
花雛
(
はなびな
)
、白と
緋
(
ひ
)
と、
紫
(
ゆかり
)
の色の
菫雛
(
すみれびな
)
。
鄙
(
ひな
)
には、つくし、
鼓草
(
たんぽぽ
)
の雛。
相合傘
(
あいあいがさ
)
の
春雨雛
(
はるさめびな
)
。
小波
(
ささなみ
)
軽く
袖
(
そで
)
で
漕
(
こ
)
ぐ
浅妻船
(
あさづまぶね
)
の
調
(
しらべ
)
の雛。
五人囃子
(
ごにんばやし
)
、
官女
(
かんじょ
)
たち。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姉が二本、妹が一本、
鼓草
(
たんぽぽ
)
の花を、すいと出した。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、おんなじような、いつかの
鼓草
(
たんぽぽ
)
のと……」
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼓草
(
たんぽぽ
)
の花に浮べる
状
(
さま
)
、虚空にかかった
装
(
よそおい
)
である。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鼓
常用漢字
中学
部首:⿎
13画
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
“鼓”で始まる語句
鼓
鼓膜
鼓舞
鼓動
鼓吹
鼓楼
鼓腹
鼓譟
鼓噪
鼓声