高見たかみ)” の例文
罪人を捕まえて生命いのちがけの仕事をさせながら、芸者を揚げて酒を飲んで、高見たかみの見物をしているなんて……お役人が聞いて呆れる。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
高見たかみ夫婦を尋ねたり、東京に出て来て居た音無信次の紹介で女詩人星野燁子あきこ女史を訪れたりして、三日間を愉快に送つたが、すぐに東京に飽いて四日目に横浜に帰つて来た。
ロミオ (從者にむかひ)おれには炬火たいまつれ。かる陽氣やうき手合てあひは、舞踏靴をどりぐつかゝと澤山たんと無感覺むかんかく燈心草とうしんぐさこそぐったがよい。おれは、祖父ぢゝい訓言通をしへどほり、蝋燭持らうそくもちをして高見たかみ見物けんぶつ
今夜お師匠ししょうさまのおいいつけをやるのだが、それにしては、もうそろそろどこかで、ときこえがあがってきそうなもの……どれ、ひとつ高見たかみから陣のようすをながめてやろうか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま零落れいらく高見たかみ見下みくだして全體ぜんたい意氣地いくぢさすぎるとひしとかこくおもふはこゝろがらなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ここにこの不慮の椿事ちんじを平気で高見たかみ見物けんぶつをしていたものがあります。さいぜんの武士の一挙一動から、老人の切られて少女の泣き叫ぶ有様を目も放さずながめていたのは、かのくりの木の上の猿です。
えてしまいさうになつてるところを、ひと高見たかみ見物けんぶつされて、おもしろがられて、わらはれて、なぐさみにされて、うれしがられて、血走ちばしつて、かみうごいて、くちびるやぶれたところで、口惜くやしい、口惜くやしい、口惜くやしい
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「三八は高見たかみの見物ですか」
高見たかみの見物をしてやろうという、その準備計画のために、ホンの暫くの間、姿をくらましていたものに過ぎませんでした。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「さすれば、こっちは高見たかみの見物、伊那丸の首は、三河勢みかわぜい槍玉やりだまにあげてくれるわけだな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よくもおまつりの正太しようたさんにあだをするとてわたしたちがあそびの邪魔じやまをさせ、つみい三ちやんをたゝかせて、おまへ高見たかみ釆配さいはいつておいでなされたの、さあ謝罪あやまりなさんすか、なんとで御座ござんす
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
無辜むこの人間に生命いのちがけの不正を働らかせながら、芸妓げいしゃを揚げて高見たかみの見物をしようとした諸君の方が悪いにきまっているのだから……諸君は友吉おやじの最後の演説を記憶しておられるだろう……
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)