陣屋ぢんや)” の例文
さてそれよりは、紀元節きげんせつ祝賀しゆくがと、このおほいなる成功せいこういわひとでくがごとさわぎ、よるになると、かねまうけられたる海岸かいがん陣屋ぢんや大祝賀會だいしゆくがくわいはじまつた。其塲そのば盛况せいけうふでにも言葉ことばにもつくされない。
平野郷は城代土井の領分八万石の内一万石の土地で、七名家しちめいかと云ふ土着のものが支配してゐる。其中の末吉すゑよし平左衛門、中瀬なかせ九郎兵衛の二人が、美吉屋から帰つた女中の話を聞いて、がう陣屋ぢんやに訴へた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
聞て所の代官だいくわん首藤すどう源兵衞より公儀こうぎ御代官二また陣屋ぢんや大草おほくさ太郎左衞門殿へ差出し一通り吟味の上駿府へ差送さしおくりに相なり石川安五郎はあがり屋入申付られ其後同所町奉行桑山下野守くはやましもつけのかみ殿種々しゆ/″\吟味ぎんみありしかど重五郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翌朝よくてうになつてると、海潮かいてうほとん平常へいじやうふくしたが、見渡みわたかぎり、海岸かいがんは、濁浪だくらう怒濤どたうためあらされて、昨日きのふうるはしく飾立かざりたてゝあつた砂上しやじやう清正きよまさ人形にんぎようも、二見ふたみうら模形もけいも、椰子林やしばやし陣屋ぢんや
また彼方かなたでは、一團いちだん水兵すいへいがワイ/\とさわいでるので、何事なにごとぞとながめると、其處そこ小高こだかをかふもとで、椰子やし橄欖かんらん青々あほ/\しげり、四邊あたり風景けしき一際ひときわうるはしいので、今夜こんや此處こゝ陣屋ぢんやかまへて