-
トップ
>
-
院内
>
-
ゐんない
アンドレイ、エヒミチは
院長として
其職に
就いた
後恁る
亂脈に
對して、
果して
是を
如何樣に
所置したらう、
敏捷と
院内の
秩序を
改革したらうか。
せんものと
未明より
下男善助
相手とし寶澤にも
院内を
掃除させけるが
稍片付て暮方になり
早殘る方なく
掃除を
仕舞ければ善助は
食事の
支度をなし寶澤は神前の
油道具を
寸ほどにのびた
院内の
若草が、
下駄の
齒に
柔かく
觸れて、
土の
濕りがしつとりと
潤ひを
持つてゐる。
微かな
風に
吹きつけられて、
雨の
糸はさわ/\と
傘を
打ち、
柄を
握つた
手を
霑す。
彼女が
病院生活に
入つてから三
年目の
秋に、ある
地方から
一人の
若い
醫者が
來て、その
病院の
醫員になつた。
彼は
所謂人好きのする
男で、
殊に
院内の
看護婦達をすぐに
手なづけてしまうことが
出來た。
しかるに
近頃に
至つて
不思議な
評判が
院内に
傳はつた。
院内の一
室に
若い
醫者と
起き
伏しゝてゐることは
公然になつた。