トップ
>
釘付
>
くぎづ
ふりがな文庫
“
釘付
(
くぎづ
)” の例文
壁に
釘付
(
くぎづ
)
けにされた大きな十字架像が、食堂の装飾を補っていた。食堂のただ一つの
扉
(
とびら
)
は前に述べたと思うが、庭の方に開いていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それ以来硝子戸を固く
釘付
(
くぎづ
)
けにでもしたと思われて、夜の闇にまぎれて幾ら押してみても引いてみても開かなくなってしまった。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
暗い
竹叢
(
たけむら
)
に覆われた山家の
柴垣
(
しばがき
)
に沿うている暗がりである。光秀の影は、十間ほど後に、
釘付
(
くぎづ
)
けになったように立ち
竦
(
すく
)
んでいた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この白ばっくれた人々の眼を、床の動物の方に引きつけ、そこから
他所見
(
よそみ
)
が出来ないように、否応なく
釘付
(
くぎづ
)
けにしてやらねばならない。」
ウォーソン夫人の黒猫
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
どこかの普通の棺のなかに入れて
釘付
(
くぎづ
)
けにし——深く、深く、永久に、どこか普通の名もない墓のなかへ投げこんだのだ。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
▼ もっと見る
知識階級を
釘付
(
くぎづ
)
けにした道徳と理智との抗争問題の起点となるべき、自意識の整理に向わなければ、恐らく何事も今はなし得られるものでもない。
純粋小説論
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
塗笠を冠ったもう一人の馬上の武士も、行列の者たちも虚を衝かれたようすで、その場に
釘付
(
くぎづ
)
けになったようにみえた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
始終さうだつたのです。しかし私はもうソーンフィールド莊をたゝんでしまふ積りです。玄關の戸を
釘付
(
くぎづ
)
けにして下の窓は板で
圍
(
かこ
)
つてしまひます。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
縁側
(
ヴェランダ
)
の欄干に、
釘付
(
くぎづ
)
けにされながら、二人の後姿が全く見えなくなった若い
楓
(
かえで
)
の林を、じっと見詰めている時に、その林の向うにある泉水の
畔
(
ほとり
)
から
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この娘の命を狙う者は誰? 平次の眼は、若い二人の男、鳩谷小八郎と一色友衛に
釘付
(
くぎづ
)
けになりました。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あでやかな姿形、豊かな声量、巧みな歌いっ振りに、いつか、清盛の目は仏に
釘付
(
くぎづ
)
けになっている。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
エジプト人は罪人の首を斬って胴だけを十字架に
釘付
(
くぎづ
)
けにして夜中曝し物にしたそうで御座います。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平素から表情の顕著な人ではないが、今朝は全く感覚を失ったような
茫然
(
ぼうぜん
)
たる顔つきになって、異様に大きく見開かれた
瞳
(
ひとみ
)
が、じっと空間の一点に
釘付
(
くぎづ
)
けになっていた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
竜之助は
釘付
(
くぎづ
)
けられたように立ちつくして、そうして道場の武者窓のあたりへと近寄りました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小十郎はまるでその二疋の熊のからだから後光が射すように思えてまるで
釘付
(
くぎづ
)
けになったように立ちどまってそっちを見つめていた。すると小熊が甘えるように言ったのだ。
なめとこ山の熊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
文三また
慄然
(
ぶるぶる
)
と震えてまた蒼ざめて、
口惜
(
くちお
)
しそうに奥の間の方を
睨詰
(
にらみつ
)
めたまま、暫らくの間
釘付
(
くぎづ
)
けに
逢
(
あ
)
ッたように
立在
(
たたずん
)
でいたが、やがてまた気を取直おして
悄々
(
すごすご
)
と出て参ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そしてその迎えでも来て、ここに
混血児
(
あいのこ
)
の娘たちがいて、それが今まで私の足を
釘付
(
くぎづ
)
けにしていたのだということなぞがわかったら、家中でどんな騒ぎを起さぬとも限りません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ヘレン・ケラーは生後十八ヶ月目に重い
病
(
やまい
)
のために彼女の魂と外界との交通に最も大切な二つの窓を
釘付
(
くぎづ
)
けされてしまったにかかわらず、自由に自国語を話し、その上独、仏、羅
鸚鵡のイズム
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
頼母は、縁側の板に
釘付
(
くぎづ
)
けになったように暫らく動かなかった。動けなかった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もう、なんにも、あなたに言いたくなくなって、ぼんやり、一等船室の大広間に足を
踏
(
ふ
)
み入れると、
悚然
(
しょうぜん
)
、頭から水を掛けられたようなショックを受け、
絨毯
(
じゅうたん
)
のうえに身が
釘付
(
くぎづ
)
けになりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
アンジョーラは八発の弾に貫かれ、あたかも弾で
釘付
(
くぎづ
)
けにされたかのように壁によりかかったままだった。ただ頭をたれた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
上段の構えは、そのまま
釘付
(
くぎづ
)
けにされでもしたようだし、深喜の竹刀の尖端は、大石の喉に向って微動もしなかった。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
信一郎が、その美しき女性に、
釘付
(
くぎづ
)
けにされたように、会葬者の
眸
(
ひとみ
)
も、一時は
此
(
こ
)
の女性の身辺に注がれた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかし、堀秀政ともある者が、この要地に、大兵を
擁
(
よう
)
しながら、甘んじて、その陣地に
釘付
(
くぎづ
)
けにされていたのは、秀吉側から見れば、甚だ遺憾なりともいえよう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余が視線は、
蒼白
(
あおじろ
)
き女の顔の
真中
(
まんなか
)
にぐさと
釘付
(
くぎづ
)
けにされたぎり動かない。女もしなやかなる
体躯
(
たいく
)
を
伸
(
の
)
せるだけ伸して、高い
巌
(
いわお
)
の上に一指も動かさずに立っている。この
一刹那
(
いっせつな
)
!
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は寒い夜風の中に
釘付
(
くぎづ
)
けにされたような気持で、そこへ突っ立ったまま
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
万七は頑としてお蔦に疑いを
釘付
(
くぎづ
)
けにするのでした。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
釘付
(
くぎづ
)
けにされたやうに立ちどまった。
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一種の恐ろしい魅惑にとらえられて彼は、全光景を観察し見おろし得るその場所に
釘付
(
くぎづ
)
けにされてしまった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼が信じかねていると、あんた嘘だと思うのねと云って、あの微笑とあの凝視とで彼を
釘付
(
くぎづ
)
けにする。いいわよ、嘘だと思ってらっしゃい、いまにわかるから。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
細君の枕元には四寸角の一尺五六寸ばかりの
釘付
(
くぎづ
)
けにした箱が大事そうに置いてある。これは肥前の国は
唐津
(
からつ
)
の住人
多々良三平君
(
たたらさんぺいくん
)
が先日帰省した時
御土産
(
おみやげ
)
に持って来た山の
芋
(
いも
)
である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
羽柴軍は毛利に
釘付
(
くぎづ
)
けにされておるため、そうやすやすとは中国をうごき得ない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、息子を押し
退
(
の
)
けながら、その
背後
(
うしろ
)
の
扉
(
ドア
)
を、右の手で開けようとした。が、それは
釘付
(
くぎづ
)
けにでもされたように、ピタリとして、少しも動かなかった。彼は声を出して、叫ぼうとした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
釘付
(
くぎづ
)
けにされたように立ちどまった。
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
マリユスは女房の重々しい手が暗がりに扉の
鍵
(
かぎ
)
を探ってる音を聞いた。扉は開いた。彼はその場所に、恐れと驚きとのために
釘付
(
くぎづ
)
けにされたように立ちすくんだ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
まえに来た三人とはべつの男たちで、隣りの住人にもなに一つ云わず、勝手に家の中へはいり、なにかごとごとやったのち、雨戸を
釘付
(
くぎづ
)
けにし、口笛を吹きながら去っていった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こんな大兵を
釘付
(
くぎづ
)
けにされている状態を一日もゆるしておくことではあるまい。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余の首が肩の上に
釘付
(
くぎづ
)
けにされているにしてもこれでは永く持たない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
読者が記憶するとおり野戦病院となってる料理場の
扉
(
とびら
)
を、アンジョーラは
釘付
(
くぎづ
)
けにさした。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
寒藤先生は島さんを、政界の問題へひきずり込み、そこへ
釘付
(
くぎづ
)
けにしようとした。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
釘付
(
くぎづ
)
け
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城兵は存分にひきつけて必中の
矢弾丸
(
やだま
)
をあびせ、また不意に斬って出ては縦横に暴れまわった、その戦いぶりの
精悍
(
せいかん
)
さと領民の協力がひとつになって、三万の大軍を
釘付
(
くぎづ
)
けにしてしまったのである。
荒法師
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
釘
漢検準1級
部首:⾦
10画
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“釘付”で始まる語句
釘付工場