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やりすご
ふりがな文庫
“
遣過
(
やりすご
)” の例文
先方
(
むかう
)
から来た外套の頭巾目深の男を
遣過
(
やりすご
)
すと、不図
後前
(
あとさき
)
を見廻して、ツイと許り其旅館の
隣家
(
となり
)
の軒下に進んだ。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
十分に
遣過
(
やりすご
)
し
後
(
うしろ
)
の方より物をも云ず切掛しに三五郎も
豪氣
(
さるもの
)
なれば
飛退
(
とびのき
)
さまに拔合せ汝れ重四郎め
汝
(
なん
)
ぢや惡事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
婦人はとにもかくにも
遣過
(
やりすご
)
せしが、又何とか
思直
(
おもひなほ
)
しけん、
遽
(
にはか
)
に追行きて呼止めたり。
頭
(
かしら
)
を
捻向
(
ねぢむ
)
けたる酔客は
眊
(
くも
)
れる
眼
(
まなこ
)
を
屹
(
き
)
と見据ゑて、
自
(
われ
)
か
他
(
ひと
)
かと
訝
(
いぶか
)
しさに
言
(
ことば
)
も
出
(
いだ
)
さず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
先刻
(
さっき
)
餅菓子を買われた時、嬉しそうに
莞爾
(
にっこり
)
して、酌をする前に、それでも自分で立って、台所の戸障子を閉めて、
四辺
(
あたり
)
を見たから、その時は戸袋へ
附着
(
くッつ
)
いて、色ッぽい新造の目を
遣過
(
やりすご
)
しておいて
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宮は
鳩羽鼠
(
はとばねずみ
)
の
頭巾
(
ずきん
)
を
被
(
かぶ
)
りて、
濃浅黄地
(
こいあさぎぢ
)
に白く
中形
(
ちゆうがた
)
模様ある毛織のシォールを
絡
(
まと
)
ひ、学生は焦茶の
外套
(
オバコオト
)
を着たるが、身を
窄
(
すぼ
)
めて吹来る
凩
(
こがらし
)
を
遣過
(
やりすご
)
しつつ、遅れし宮の
辿着
(
たどりつ
)
くを待ちて言出せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
見返りしに人影もなく
丁度
(
ちやうど
)
往來も
途絶
(
とだ
)
えしかばその邊にて殺さんと思へども
此奴
(
きやつ
)
も
勿々
(
なか/\
)
の曲者なれば
容易
(
たやすく
)
は
亡
(
うしな
)
ひ難し
然
(
さ
)
れども幸ひ今宵は
闇
(
やみ
)
にて
暗
(
くら
)
さはくらし
何
(
いか
)
にも
遣過
(
やりすご
)
してと思ひ
故意
(
わざ
)
と腰を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
唄
(
うた
)
ひながら
悠々
(
いう/\
)
と
大宮村
(
おほみやむら
)
へと行ける
折
(
をり
)
から畔倉は少し
遣過
(
やりすご
)
しつゝ
窺
(
うかゞ
)
ひ
寄
(
よつ
)
て後より
大袈裟掛
(
おほげさがけ
)
に切付れば
流石
(
さすが
)
の金兵衞も
手練
(
てなみ
)
の一刀に
堪
(
たま
)
り得ずアツと一
聲
(
こゑ
)
叫
(
さけ
)
びし
儘
(
まゝ
)
二ツに成て
果
(
はて
)
たりけり重四郎は
呵々
(
から/\
)
と打笑ひ仕て
遣
(
やつ
)
たりと云ながら刀の
血
(
のり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
過
常用漢字
小5
部首:⾡
12画
“遣”で始まる語句
遣
遣瀬
遣口
遣戸
遣手
遣繰
遣切
遣方
遣場
遣付