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遊弋
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ゆうよく
ふりがな文庫
“
遊弋
(
ゆうよく
)” の例文
なおまた、
播磨
(
はりま
)
、
摂津
(
せっつ
)
の海上には、七百余
艘
(
そう
)
の兵船を
遊弋
(
ゆうよく
)
させ、後詰の兵や糧食を、なおも続々陸上に押し揚げようと計っておりまする。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしこの船が鯨と同じ方向に、その中に挟まれて鯨の行く通りに
遊弋
(
ゆうよく
)
することができたら、なお一層の愉快だと感ぜしめずにはおきません。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何しろ魚といふ奴は冷い、驚き易い、逃げ易い、そして人外境にあつて千尋の海を
遊弋
(
ゆうよく
)
してゐる。人間の感情感覚では計り知れるものではない。
魚美人
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
いわば
辻君
(
つじぎみ
)
の多く出没する場所で、女たちは、芝居や
寄席
(
よせ
)
のはじまる八時半ごろから、この付近の大通りや横町を
遊弋
(
ゆうよく
)
して、街上に男を
物色
(
ぶっしょく
)
する。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
眼を開いたまま眼を
醒
(
さま
)
して、一ところに
固
(
かたま
)
っていた二ひきが
悠揚
(
ゆうよう
)
と連れになったり、離れたりして
遊弋
(
ゆうよく
)
し出す。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
回游魚の習性を根拠とする鯨群の
遊弋
(
ゆうよく
)
方向に及び、日本の新旧漁法をスカンジナビヤ半島の様式に比較し、各種の鯨の肉、骨、臓器、油の用途、価格、販路
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
銀座を歩いていたら、派手な洋装をした若い女が二人、ハイヒールの足並を揃えて
遊弋
(
ゆうよく
)
していた。
チューインガム
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
底なし沼事件ののちの数日間、影男はその殿村啓介になりきって、紅灯緑酒のちまたを
遊弋
(
ゆうよく
)
した。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
但
(
ただ
)
し座敷の正面までは深入りをしない。もし追い懸けられたら逃げるのに、少々ひまがいるから、
予
(
あらかじ
)
め逃げる時間を勘定に
入
(
い
)
れて、
捕
(
とら
)
えらるる危険のない所で
遊弋
(
ゆうよく
)
をしている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるいはなにかの作用で大部分が東方日本の方へ向かって
遊弋
(
ゆうよく
)
し、その途次、すなわち玄海灘を押し切って東漸し、大多数が瀬戸内海に入り、または九州、土佐あたりへも分れる。
明石鯛に優る朝鮮の鯛
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
このときから入港の瞬間までは、一切が
烈
(
はげ
)
しい興奮のうずにまきこまれてしまう。護衛の巨人さながらに海岸を
遊弋
(
ゆうよく
)
している軍艦。アイルランド海峡に差し出ているアイルランドの岬。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
夜になると盛んに
遊弋
(
ゆうよく
)
をやって
賑
(
にぎ
)
やかでいい。けれどもだ、俺の所には喰うものはないからややもすれば足の先および耳鼻の類が危険だから、俺はかじられないだけの用心はしている。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
世界の太平洋中に約一カ月を
遊弋
(
ゆうよく
)
したものですから、その苦心と、操縦は、容易なものではないが、運よく、颱風の眼をくぐり、圏をそらして
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さきに
蟹江
(
かにえ
)
あたりを
窺
(
うかが
)
った上方の海軍も、遠州、駿河沖あたりに
遊弋
(
ゆうよく
)
しはじめ、美濃、伊勢、甲州にわたる信雄の与国は、秀吉に促されて、いや応なく
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが
生憎
(
あいにく
)
な事に舞台の背後が、一面の竹藪になっている。春先ではあるがダンダラ
縞
(
じま
)
のモノスゴイ
藪蚊
(
やぶか
)
がツーンツーンと幾匹も飛んで来て、筆者の鼻の先を
遊弋
(
ゆうよく
)
する。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
不思議な記憶の花模様を全身に
繍
(
ぬ
)
ひ
鋳
(
い
)
りつけてくると人は
鬼狐
(
きこ
)
の如くこの感覚一点に繋がれて、又昨日の魚を思ひ、
犒
(
ねぎら
)
ひ、たわみ、迷うて、再び河海を
遊弋
(
ゆうよく
)
するやうになる。
魚美人
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
鴨羽
(
かもは
)
の雌雄夫婦はおしどり式にいつも互いに一メートル以内ぐらいの間隔を保って
遊弋
(
ゆうよく
)
している。一方ではまた白の母鳥と十羽のひなとが別の一群を形づくって移動している。
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
青錨汽船会社
(
ブルウ・アンカア・ライン
)
は尚三箇月間、責任の捜索船を置いて、延べ航程一万五千海里も附近一帯の海上を
遊弋
(
ゆうよく
)
させてワラタ号の破片でもと探し求めたが、これ又何の得るところもなかった
沈黙の水平線
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ときおり、まだ乳ばなれしない小豚の群が飛びだしてきたが、大気の
匂
(
にお
)
いを
嗅
(
か
)
ぐためのように見えた。雪のように白い
鵞鳥
(
がちょう
)
は堂々たる艦隊をなして、近くの池で
遊弋
(
ゆうよく
)
し、
家鴨
(
あひる
)
の船隊をまもっていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
果して、胡麻塩頭の左右に
遊弋
(
ゆうよく
)
した五つ六つの
水瓜頭
(
すいかあたま
)
が、むっくりと立ち直って、七兵衛めがけて殺到して来ました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
播摂一円の沿海に、旗のぼりを
翻
(
ひるがえ
)
して
遊弋
(
ゆうよく
)
している七百余艘の兵船は、一艘も余さず皆、毛利家の水軍だった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上層を
遊弋
(
ゆうよく
)
する奴も、下層にへばりついてゐる奴も低脳だ。インテリ性の魚は中層を往く。
釣れない時:君は何を考へるか
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
そう思って見ると、兵助を後ろに、左右に
遊弋
(
ゆうよく
)
している五ツ六ツの
水瓜頭
(
すいかあたま
)
も、みんなあいつの身内と見える。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
とにかく、家康と信雄は、ひとまず、そこで
一
(
いっ
)
ぷくの形であったが——一方、海上に
遊弋
(
ゆうよく
)
していた九鬼嘉隆の兵船群は、兵も食糧も馬も、上げることができないでいた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日は、心置きなく自分の住宅区域の安全地帯に、誰
憚
(
はばか
)
らず
遊弋
(
ゆうよく
)
することができる。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
海上に
遊弋
(
ゆうよく
)
している敵の水軍から、
九鬼嘉隆
(
くきよしたか
)
の新手が上陸するのを防ぐためである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一発は鯨の群の
遊弋
(
ゆうよく
)
に向って試みてみました。今度は島へ向って礼砲のつもりです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いや、ご迷惑とは察しるが、こうして毎夜、あなたの口から、広い世上に
遊弋
(
ゆうよく
)
している奇骨異風さまざまな
好漢
(
おとこ
)
どもの存在を聞くのは、なんとも愉快でならんですな。じつに愉しい」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほかに
若干
(
じゃっかん
)
の舟軍がある。——舟軍は琵琶湖上を
遊弋
(
ゆうよく
)
していた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“遊弋”の意味
《名詞》
遊弋(ゆうよく)
船があちこちに動きまわること。
転じて、物や人が自由に動き回ること。
(出典:Wiktionary)
遊
常用漢字
小3
部首:⾡
12画
弋
漢検1級
部首:⼷
3画
“遊”で始まる語句
遊
遊蕩
遊山
遊女
遊戯
遊廓
遊行
遊説
遊惰
遊人