追手おつて)” の例文
追手おつては内山、同心二人、岡野、菊地弥六、松高、菊地鉄平の七人、搦手からめては同心二人、遠山、安立あだち芹沢せりざは、斎藤、時田の七人である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
糺問きうもんありければつひに白状致しけりよつて金屋の盜賊たうぞくも相知れ夫より清三郎へ追手おつてかけられたり扨牢内より彼の旅僧たびそう雲源うんげん呼出よびいだされ又伊勢屋三郎兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鷺坂伴内さぎさかばんないのやうな追手おつてが、だん/\近づいて來はせぬかといふことなぞも思はれて來た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
朧夜おぼろよに星の影さへ二ツ三ツ、四ツか五ツかかねも、もしや我身わがみ追手おつてかと………
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ますにわたかぜさだかにきこえぬさて追手おつてにもあらざりけりおたか支度したく調とゝのひしか取亂とりみださんはのちまでのはぢなるべし心靜こゝろしづかにといましめることばふるひぬいたましゝ可惜あたら青年せいねんはなといはゞつぼみえだいまおこらん夜半よは狂風きやうふう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
追手おつては続いて岡野、菊地弥六、松高、菊地鉄平、内山の順序に東表口を這入つた。内山は菊地鉄平に表口の内側に居残つてくれと頼んだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
取行ひ四日には兵庫のみなとなり共大阪の川尻かはじりなり共思し召にまか着船ちやくせんすべしと云ふ吉兵衞熟々つら/\考ふるに今大阪へあがりても兵庫へつきても船頭せんどうが熊本へ歸り斯樣々々かやう/\はなさば加納屋利兵衞方より追手おつて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
信濃町しなのまちでは、一同が内山の出した美吉屋の家の図面を見て、その意見に従つて、東表口ひがしおもてぐちに向ふ追手おつてと、西裏口にしうらぐちに向ふ搦手からめてとに分れることになつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
つい挨拶あいさつをぞなしたり其夜吉兵衞には酒肴しゆかう取寄とりよ船頭せんどうはじめ水主かこ十八人を饗應もてな酒宴しゆえんもよほしける明れば極月ごくづき廿九日此日は早天より晴渡はれわたり其上追手おつての風なれば船頭杢右衞門は水主共かこども出帆しゆつぱん用意ようい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)