)” の例文
然し婦人連は悉く熱心に見てゐる。そのうちでも美禰子とよし子は尤も熱心らしい。三四郎は自分も無分別にけて見たくなつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は、仕事の済むまで妹の邪魔をしまいと思って、入口の所で黙って立っていた。すると、すぐに房子がそれを見つけて、嬉しそうにけ出して来て兄を中へ案内した。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
け出して見た、が見当らぬ,向うかも知れぬ、とまたその方へ走け出して見たが見当らぬ,困ッた。娘はさも心配そうにしきりと何か考えていたが、心細そうな小さな声で,
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
火のいているランプを取って投げつけられ、頬からだらだら流れる黒血をおさえて、跣足はだしで暗い背戸へ飛び出す母親のたもとにくっついてけ出した時には、心から父親をおそろしいもののように思った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
思想の断片が、気違いのように頭のうちじゅうけまわる……。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
余は車に揺られながら、乗客じょうかくの神経に相応の注意を払わない車夫は、いかによくけたって、ついに成功しない車夫だと考えた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あげた時と、僕がけつけて行った時との間には、三十秒とは経っていなかったのだから。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
娘もけて来て採ろうとするから、採ッてはいけないと娘をささえて、自分一人で採ろうとした,がいけなかッた,自分は今まで採りめたのを、風呂敷へ入れてげていたが
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
安井やすゐ門口かどぐちぢやうおろして、かぎうらうちあづけるとかつて、けてつた。宗助そうすけ御米およねつてゐるあひだ二言ふたこと三言みこと尋常じんじやうくちいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
びっくりして目を上げると彼がさっき渡って来た小流れの方から房子と律子とがけ出して来るのが見えた。二人とも、海水浴をする時のような、つばの広い麦藁帽をかぶっていた。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
喜いちゃんは、やあい食辛抱くいしんぼうと云いながら、してうち這入はいった。しばらくすると喜いちゃんの家で大きな笑声が聞えた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
安井は門口かどぐちじょうをおろして、かぎを裏のうちへ預けるとか云って、けて行った。宗助と御米は待っている間、二言、三言、尋常な口をいた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
歩くとただ歩いていられないからけると云います。すでに走け出した以上、どこまで行っても止まれないと云います。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
むかふからくるまけてた。黒い帽子をかぶつて、金縁きんぶち眼鏡めがねを掛けて、遠くから見ても色光沢いろつやい男がつてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やっぱり当の敵の向うに見える本街道をあとを慕ってけ出すのが心理的に普通な状態であります。
文壇の趨勢 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ見境みさかいなくけさえすれば車夫の能事畢のうじおわると心得ている点に至っては、全く朝鮮流である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
みんな呼吸いきはずませてゐる様に見える。三四郎は是等の学生の態度と自分の態度とをくらべて見て、其相違に驚ろいた。どうして、あゝ無分別にける気になれたものだらうと思つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
四人の車はこの英語を相図あいずした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
俥は再びけ出した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)