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言問
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こととい
ふりがな文庫
“
言問
(
こととい
)” の例文
言問
(
こととい
)
まで行くつもりであったが隅田川の水の臭気にあきたので
吾妻橋
(
あづまばし
)
から上がって地下鉄で銀座まで出てニューグランドでお茶をのんだ。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「バカにおしなさんな、こんなものぐれえわからなくてどうするんですかい。まさにまさしく、こりゃ墨田の
言問
(
こととい
)
ですよ」
右門捕物帖:30 闇男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一銭蒸汽と云った時代からの
隅田川
(
すみだがわ
)
の名物で、私はよく、用もないのに、あの発動機船に乗って、
言問
(
こととい
)
だとか
白鬚
(
しらひげ
)
だとかへ往復して見ることがある。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その間を縫うように、
言問
(
こととい
)
の近くまで——実はとんだ
儲
(
もう
)
けもののつもりで、花を眺めながら行くと、いきなり突き当って
喧嘩
(
けんか
)
を吹っ掛けたものがあります
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私たちは川風に吹かれながら橋の
欄干
(
らんかん
)
にもたれて、
鐘
(
かね
)
ヶ
淵
(
ふち
)
の方からきた蒸気船が小松島の発着所に着いてまた
言問
(
こととい
)
の方へ向かって動き出すまで見ていた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
▼ もっと見る
向島の
言問
(
こととい
)
の手前を
堤下
(
どてした
)
に
下
(
お
)
りて、
牛
(
うし
)
の
御前
(
ごぜん
)
の鳥居前を
小半丁
(
こはんちょう
)
も行くと左手に少し引込んで
黄蘗
(
おうばく
)
の禅寺がある。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
水上バスへ御乗りのお客さまはお急ぎ下さいませ。水上バスは
言問
(
こととい
)
から
柳橋
(
やなぎばし
)
、
両国橋
(
りょうごくばし
)
、
浜町河岸
(
はまちょうがし
)
を一周して時間は一時間、料金は御一人五十円で御在ます。
吾妻橋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
わたしは幼年のころ、橋場、今戸、小松島、
言問
(
こととい
)
など、
隅田川
(
すみだがわ
)
の両岸に
数寄
(
すき
)
をこらした富豪の別荘が水にのぞんで建っていたことを
図
(
はか
)
らずもおもいうかべた。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
言問
(
こととい
)
の
桟橋
(
さんばし
)
には、和船やボートが沢山ついているらしい。それがここから見ると、丁度大学の
艇庫
(
ていこ
)
に日を遮られて、ただごみごみした黒い一色になって動いている。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その後側の裏門を出ると、桜餅で有名な
長命寺
(
ちょうめいじ
)
の門前で、狭い斜めの道を土手に上ると
言問
(
こととい
)
です。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
在原の
業平
(
なりひら
)
が東へ下ってきた時に、隅田川の
言問
(
こととい
)
の渡船場あたりで、嘴と脚の紅い水鳥を見て、いかにもみやびているところから『みやこ鳥』と呼んだという伝説があるが
みやこ鳥
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
合宿所は
言問
(
こととい
)
の近くの
鳥金
(
とりきん
)
という料理屋の裏手にあった。道を隔てて前と横とが芸者屋であった。隣りには高い
塀
(
へい
)
を隔てて
瀟洒
(
しょうしゃ
)
たる二階屋の中に、お
妾
(
めかけ
)
らしい女が住んでいた。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
「只今警視庁から急報がありましてな。中橋英太郎が腐爛した死体となって隅田川の
言問
(
こととい
)
のあたりへあがりましたぞ。水死ではなくて、クビをしめられて死んでおったそうです」
明治開化 安吾捕物:05 その四 ああ無情
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
待乳山
(
まっちやま
)
を背にして
今戸橋
(
いまどばし
)
のたもと、竹屋の渡しを、
山谷堀
(
さんやぼり
)
をへだてたとなりにして、
墨堤
(
ぼくてい
)
の
言問
(
こととい
)
を、
三囲
(
みめぐり
)
神社の鳥居の頭を、向岸に見わたす広い
一構
(
ひとかまえ
)
が、評判の
旗亭
(
きてい
)
有明楼であった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
広小路通りと
言問
(
こととい
)
通りの間の、普通浅草と呼ばれる一区画の中にある食い物屋は、これはいわば外から浅草へ遊びにくる人たちのための食い物屋で、浅草のなかで働いている人たちのための
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
小倉と三浦とはかまわずさきへ
言問
(
こととい
)
のほうへあるいた。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
言問
(
こととい
)
のほとりにも中の植半とて名高き酒楼ありしが大正のはじめには待合風の料理屋となり
女夫風呂
(
めおとぶろ
)
とか名付けし鏡張りの浴室評判なりしが入浴中に情死を
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
向島
(
むこうじま
)
も明治九年頃は、寂しいもので、
木母寺
(
もくぼじ
)
から水戸邸まで、土手が長く続いていましても、花の頃に
掛茶屋
(
かけぢゃや
)
の数の多く出来て
賑
(
にぎわ
)
うのは、
言問
(
こととい
)
から
竹屋
(
たけや
)
の
渡
(
わたし
)
の辺に過ぎませんでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
言問
(
こととい
)
から渡しに乗って向島へ渡り、ドテをぶらぶら歩いていると、杭にひっかかっている物がある。一応通りすぎたが、なんとなく気にかかって、半町ほど歩いてから戻ってきてそれを拾い上げた。
明治開化 安吾捕物:21 その二十 トンビ男
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
時々夜になって
驟雨
(
ゆうだち
)
の
霽
(
は
)
れた
後
(
あと
)
、澄みわたった空には明月が出て、道も明く、むかしの景色も思出されるので、知らず知らず
言問
(
こととい
)
の岡あたりまで歩いてしまうことが多かったが
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
井上唖々
(
いのうえああ
)
さんという
竹馬
(
ちくば
)
の友と二人、梅にはまだすこし早いが、と言いながら向島を歩み、
百花園
(
ひゃっかえん
)
に一休みした後、
言問
(
こととい
)
まで戻って来ると、川づら一帯早くも立ちまよう
夕靄
(
ゆうもや
)
の中から
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
江戸時代にあっては堤上の桜花はそれほど綿密に連続してはいなかったのである。堤上桜花の沿革については今なお
言問
(
こととい
)
の岡に建っている植桜之碑を見ればこれを
審
(
つまびらか
)
にすることができる。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
問
常用漢字
小3
部首:⼝
11画
“言問”で始まる語句
言問橋
言問団子