行々子ぎやう/\し)” の例文
ぱうは、ひしや/\とした、何処どこまでも蘆原あしはらで、きよつ/\、きよつ/\、とあし一むらづゝ、じゆんに、ばら/\と、また飛々とび/\に、行々子ぎやう/\しきしきつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二階の欄干にもたれると闇ながらその前に打ち開けた大きな沼澤が見渡されさうに水蒸氣を含んだ風がふいて、行々子ぎやう/\しが其處此處で鳴いてゐる。夜も鳴くといふことを初めて知つた。
水郷めぐり (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
加賀かが大野おほの根生ねぶはま歩行あるいたときは、川口かはぐちいたところあしひとむらさへあれば、行々子ぎやう/\しこゑうづてた、にななぎされば、さら/\とそでずれの、あしのもとに、幾十羽いくじつぱともない
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから、しばらくは、まばらにもあしのあるところには、みな行々子ぎやう/\しいてた——
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのは、行々子ぎやう/\しにおくられつゝ、かはづこゑむかへられたやうながした。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どこか近郊きんこうたら、とちかまはりでたづねても、湯屋ゆや床屋とこやも、つりはなしで、行々子ぎやう/\しなどは對手あひてにしない。ひばり、こまどり、うぐひすを町内ちやうない名代なだい小鳥ことりずきも、一向いつかう他人たにんあつかひで對手あひてにせぬ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
て、たびといへば、うちにゐて、哲理てつりをかぼれのことにばかりつてゐないで、たまにはそとたがよい。よしきり(よしはらすゞめ、行々子ぎやう/\し)は、むぎ蒼空おほぞら雲雀ひばりより、野趣やしゆ横溢わういつしてしたしみがある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)