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荒繩
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あらなは
法被を
着た
寺の
供が
棺桶を
卷いた
半反の
白木綿をとつて
挾箱に
入た。
軈て
棺桶は
荒繩でさげて
其の
赤い
土の
底に
踏みつけられた。
荒らげて打
据ると雖も知らぬとばかりゆゑ掃部は茂助に
繩を取て
來れと言に茂助は臺所より
荒繩を
持來りければ和尚を
高手小手に
縛り
梁へ
釣上げ
薪を以て
散々打てば和尚は眼を
其大きな
體躯は
少し
柹の
木に
倚り
掛りながら、
胸から
脚部へ
斑に
雪を
浴びて
居た。
荒繩が
彼の
手を
轉けて
横に
體躯を
超えて
居た。
させ
荒繩にて
縊り付大
釜に
汲込みし大川の水を理左衞門
屹度見て夫々
嚴敷水を
彼は
何かゞ
足に
纏つたのを
知つた。
手に
取つて
見たらそれは
荒繩であつた。
彼はそれからどうしたのか
明瞭に
描いて
見ようとするには
頭腦が
餘りにぼんやりと
疲れて
居た。