若人わかうど)” の例文
そのすがたは股引もゝひき草鞋わらんずにてあたゝかに着てつとむるなり。又寒中裸参はだかまゐりといふあり、家作にかゝはるすべての職人しよくにん若人わかうどらがする事なり。
それにたふれをりまするをとこ御親戚ごしんせきのマーキューシオーどのを殺害せつがいしましたるをロミオとまう若人わかうど討取うちとってござります。
この年三のとりまで有りてなか一日はつぶれしかど前後の上天気に大鳥神社のにぎわひすさまじく、此処ここをかこつけに検査場けんさばの門より乱れ入る若人わかうど達の勢ひとては
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうした文のとりつぎをする若人わかうど—若女房—を呼びつけて、荒けなく叱つて居る事が、度々見受けられた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
靜かに開演を待つ若人わかうどが河にむかつた讀書室の欄によつて思索し、或はボートをうかべて樂しみ、老人はまたそれを見て笑む——そんなよきことは出來ないであらうか? 借問す、みなさん。
むぐらの吐息 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
縁日えんにちあるきの若人わかうどたち、つゝしまずばあるべからず、とから伯父御をぢごまをさるゝ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このり開きたる引窻より光を取れる室にて、定りたるわざなき若人わかうど、多くもあらぬ金を人に借して己れは遊び暮す老人、取引所の業の隙をぬすみて足を休むる商人あきうどなどとひぢを並べ、冷なる石卓いしづくゑの上にて
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
若人わかうどは身をいたはらずほとほとに疲れつつ来しつひに死にせり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おもはずや夢ねがはずや若人わかうどよもゆるくちびる君にうつらずや
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『この若人わかうどの、いかなれば、かくも榮ゆる』
あはれ今 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
みちものなる若人わかうどは、もののちし經藏きやうざう
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
若人わかうどら力つくして
オリンピック東京大会讃歌 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
ひくくし申けるは此度藤が原より召連れ候者ありたゞ今御次にひかへさせたり其中一人の若人わかうど吉兵衞と申す者實は生國しやうこく紀州きしう名草郡なぐさのごほり平野村ひらのむらなる感應院かんおうゐんと申す修驗者しゆけんじや弟子でしにて寶澤と申す者なりしが今より十餘年前此平野村にお三婆といふ産婆とりあげばゝありそのむすめさはの井と云が紀州家の家老職からうしよく加納將監かなふしやうげん方へ奉公せし折將軍家は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さればよ仏壇ぶつだんの下こそよきかくれ所なれ、かまへて人にかたり玉ふな、かたりたらば幽霊いうれいを見んとて村の若人わかうどらがべきぞ。心えたるはとて立かへりぬ。
物語する刀自たちの話でなく、若人わかうどらの言ふことは、時たま世の中の瑞々みづ/\しい語草を伝へて来た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
四條金吾は鎌倉幕府の江馬入道えまにふだうにつかへた武士で、當時四面楚歌の日蓮に師事し、法華經信者の隨一ともいへる若人わかうどだ。金吾は日蓮龍の口法難のをりは、自分も腹を切らうとした無垢純粹の歸依者きえしやだ。
かいゆるにぎかへる山櫻會やまざくらゑ若人わかうど
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
夕霧に若人わかうど忍ぶそぞろきも
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おほくは農人のうにん若人わかうど商家しやうかのめしつかひもあり、ひるはいとなみをなして夜中にまうづる也。昼のいとなみのあひ/\日に三度づゝ水をあぶ、猶あぶるは心々也。
櫂のゆるに漕ぎかへる山櫻會やまざくらゑ若人わかうど
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
いづれは劣らぬ若人わかうどへの
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)