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良吉
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りょうきち
良吉の
出した
新聞は、
翌々日の
朝、
隔たった
町の
郵便局から、
配達されました。いつも、それは、
昼すこし
前の、
時刻にきまっています。
そして、しばらくそこに
良吉はいますと、やがて
日がうす
暗くなります。すると
彼は
名残惜しそうに
帰ってゆくのでありました。
といって、
良吉からそれを
取り
返して
持ってゆきました。その
後で、
良吉はさも
名残惜しそうにして、
力蔵の
後ろ
姿を
見送っていました。
良吉は、しばらく、ぼんやりとして、これを
書いた
子供の
姿を
想像していましたが、
急に
下を
向いて、あたりをさがしました。
良吉は
悲しさのあまり
泣きあかしました。
文雄は
村のお
寺の
墓地に
葬られました。
良吉は
文雄のお
葬式のときにも
泣いてついてゆきました。
良吉は「
遠くからきて、
働いているのは、けっして、
自分ばかりでない。」と、
考えると、また、
勇気づけられもしました。
良吉は、
小学校を
終わると、
都へ
出て
働いたのであります。ただ
一人、
故郷へ
残してきた
母親のことを
思うと、いつでも
熱い
涙が、
目頭にわくのでした。
「おお、これは
私の
生まれた、
隣村の
名だ。」と、
良吉は、その
文字に
吸いつけられたように
近づきました。
それで、
良吉は、
自分が
達者でいることを
知らせるために、
毎日読んだ
新聞を
故郷へ
送ることにしました。