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耳環
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みみわ
ふりがな文庫
“
耳環
(
みみわ
)” の例文
黒に近い葡萄色の軽装で両手を高くまくり上げ、薄紅い厚ぼったい
耳朶
(
みみたぶ
)
には金の
耳環
(
みみわ
)
を繊細に、ちらちらと
顫
(
ふる
)
えさしていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
主人の
家
(
うち
)
に婚礼がありまして、親類から
珠
(
たま
)
の
耳環
(
みみわ
)
を借りました。この耳環は銀三十錠の値いのある品だそうでございます。
中国怪奇小説集:13 輟耕録(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
劉備は、木蓮の花に
黄金
(
きん
)
の
耳環
(
みみわ
)
を通したような、少女の
貌
(
かお
)
を眼にえがいて、隣の息子を、なんとなく
羨
(
うらや
)
ましく思った。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頸珠
(
くびだま
)
の色、
耳環
(
みみわ
)
の光、それから着物の絹ずれの音、——洞穴の内はそう云う物が、
榾明
(
ほたあか
)
りの中に充ち満ちたせいか、急に狭くなったような心もちがした。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ふとそのとき、彼は
梅雨空
(
つゆぞら
)
に溶け込む夜の濃密な街角から、
閃
(
ひら
)
めく
耳環
(
みみわ
)
の色を感じた。彼はその一点を見詰めたまま、洞穴を造った
人溜
(
ひとだまり
)
の間を魚のように歩き出した。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
まず彼女は、
白繻子
(
しろじゅす
)
の訪問服の上から
木鼠
(
きねずみ
)
の毛皮外套を着て、そして、スキイを
履
(
は
)
いた。帽子には、驚くべきアネモネの
縫
(
ぬい
)
とりがあった。
耳環
(
みみわ
)
は
真珠の母
(
マザア・オヴ・パアル
)
の心臓形だった。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
キョロキョロしながら出て来た本人の片方の
耳環
(
みみわ
)
まで、ヒョイト
外
(
はず
)
すと自分の耳につけて
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
本来古風ナ身ナリガ好キデ、当世風ノ流行ヲ追ウヿハ
嫌
(
きら
)
イダッタノデアルガ、コウシテ見ルト、コウイウ身ナリモ似合ワナクハナイ。コトニ意外ナノハ
耳環
(
みみわ
)
ガ似合ッテイルヿデアル。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
○KR女史に、
耳環
(
みみわ
)
を贈る約束。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
耳環
(
みみわ
)
もうつつてをりました。
井戸
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
そして、通りすがった
蘆間
(
あしま
)
の蔭に、一
艘
(
そう
)
の船を見た。竹で編んだ
苫
(
とま
)
のうちから、薄い
灯火
(
ともしび
)
の光が洩れ、その明りの中に、
耳環
(
みみわ
)
をした女の白い顔が見えた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何だか
翡翠
(
ひすい
)
の
簪
(
かんざし
)
や金の
耳環
(
みみわ
)
が幕の
間
(
あいだ
)
に、ちらめくような気がするが、確かにそうかどうか判然しない。現に一度なぞは玉のような顔が、ちらりとそこに見えたように思う。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして……そして……侍女の気付かぬ間に
耳環
(
みみわ
)
さえ
外
(
はず
)
してしまう腕前ならば、お母様と頬摺りした瞬間に頸飾りをスリ換えてしまうくらいは、お茶の子サイサイであろう……。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
肺尖カタルの咳が、湯気を立てた饂飩の鉢にかんかんと響いていた。急がしそうに彼女らは足踏みをしたり、舞い歩いたりしながら饂飩を吹いた。
耳環
(
みみわ
)
の群れが、揺れつつ積った
塵埃
(
ごみ
)
の中で伸縮した。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
襞
(
ひだ
)
のある桃色の
裳袴
(
もばかま
)
には銀モールの
縁繍
(
ふちぬ
)
いが取ってあり、
耳環
(
みみわ
)
の
翡翠
(
ひすい
)
はともかく、首飾りの
紅玉
(
こうぎょく
)
やら
金腕環
(
きんうでわ
)
など、どこか中央
亜細亜
(
アジア
)
の輸入風俗の香がつよい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頬紅
(
ほほべに
)
をさして、
目
(
ま
)
ぶちを黒くぬつて、絹のキモノをひつかけて、細い
金
(
きん
)
の
耳環
(
みみわ
)
をぶら下げてゐる。それがおれの顔を見ると、
媚
(
こび
)
の多い眼を挙げて、
慇懃
(
いんぎん
)
におれへ
会釈
(
ゑしやく
)
をした。
窓
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
翡翠
(
ひすい
)
の
耳環
(
みみわ
)
が充血した
頸
(
うなじ
)
で小さく揺れ、その
眦
(
まなじり
)
のものは、
喜悦
(
きえつ
)
を待ち
焦
(
じ
)
れる感涙に濡れ光り、一種の恐怖と甘い涙の
滴
(
したた
)
りが、グッショリと、もみあげの毛まで濡らしている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども含芳の顔を見た時、理智的には彼女の心もちを
可也
(
かなり
)
はっきりと了解した。彼女は
耳環
(
みみわ
)
を震わせながら、テエブルのかげになった膝の上に
手巾
(
ハンケチ
)
を結んだり解いたりしていた。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
門一ぱいに当っている、油のような夕日の光の中に、老人のかぶった
紗
(
しゃ
)
の帽子や、
土耳古
(
トルコ
)
の女の金の
耳環
(
みみわ
)
や、
白馬
(
しろうま
)
に飾った色糸の
手綱
(
たづな
)
が、絶えず流れて行く
容子
(
ようす
)
は、まるで画のような美しさです。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娘のひたいに小さな血が
滲
(
にじ
)
み、
耳環
(
みみわ
)
も
簪
(
かんざし
)
も飛び乱れていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“耳環”の意味
《名詞》
耳 環(じかん、みみわ)
耳朶に付ける装飾の輪。
(context、history)(じかん)古墳時代後期から飛鳥時代にかけて造られた環状の金属製耳飾り。
(出典:Wiktionary)
“耳環”の解説
耳環(じかん)とは、古墳時代後期から飛鳥時代にかけて造られた環状の金属製耳飾り(イヤリング)である。金・銀・銅製のほか、銅(または青銅)の表面に金を鍍金した金銅(こんどう)製や銀鍍金、銅や鉄の表面に薄い金・銀板を巻いて製作したものがある。表面素材によって「金環」・「銀環」・「銅環」とも呼び分ける。
(出典:Wikipedia)
耳
常用漢字
小1
部首:⽿
6画
環
常用漢字
中学
部首:⽟
17画
“耳”で始まる語句
耳
耳朶
耳許
耳目
耳語
耳門
耳盥
耳面刀自
耳障
耳元