よく)” の例文
つまり、よくが破れているとか、プロペラのはしけているとか、座席の下に穴が明いとるとか、そういうボロ飛行機でよいのじゃ。
しかも、氷上には、単葉の飛行艇が二機、よくを休めているし、水色の作業服を着た人々が、水晶のように美しい氷上を歩いている。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
「わが君。私情にとらわれて国を亡し給うな。彼にかてを与え、兵をかすは、虎によくを添えて、わざとこの国を蹂躙じゅうりんせよというようなものです」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隅櫓すみやぐらとすれすれに何百回となく宮城の上を旋回し、あの方に話しかけようとするようによくをバンクさせたり、宙返りやキリモミをごらんに入れ
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
さうして引きさかれた眠りを顏に浮べながら、誰もかも半ばよろひ、半ば裸かのまま、部屋から部屋へ、よくから翼へと駈けめぐり、階段を搜してゐた。
射し込む日光を全身に浴び銀色に輝く翼や尾羽根! それは木であり金属であり絹や木綿で作ったものではあるがしかしやはりよくであり立派な尾羽根でなくてはならない。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼らが話している間に、アルカージナとポリーナは部屋の中央にカルタ机をすえ、左右のよくを上げる。シャムラーエフは蝋燭ろうそく(訳注 複数)をともしたり、椅子いすを並べたりする。
成層圏に達するまではよくをひろげているが、成層圏に上昇し、いよいよ長距離飛翔に移る際には翼が胴体にぴったり食い着いて、同時にロケットの爆発がはじまるという機構らしく想像される。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
玄白とは初代玄白よくであらうか。玄白は初め子がなかつたので、建部たてべ伯元勤はくげんきんを養つて嗣とした。其後一児を挙げたのが立卿予りつけいよである。むすめの事は伝に見えない。きんとのぢよの事も亦同じである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
よくのうら滑車に映る影見れば微動しつつあらし飛行はつづく
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雌花しか花下かかに三つのよくある子房しぼうがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そういっているうちに、南の空からよくをつらねて堂々たる姿をあらわしたのは、九機からなるまぎれもない、わが海軍機の編隊であった。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、速舟の櫓音ろおとがいよいよ烈しい。逃げて行く帆もそれに負けず、狂気のよくを風の空に鳴りはためかせる。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うつらうつらしている海のついむこうに、ミズーリ以下五百艘の艦隊が砲口を Tokyo へむけ、飛行機のよくに鼻の脂を塗ってどっしりと待機していることをあたしは知っている。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
雲のさき遥かにし見む我が軽き合金属の銀灰ぎんくわいよく
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
飛行機の胴体やよくを組み立てるのだ。
智恵の一太郎 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と、たちまち近づく飛行機の爆音、来たなと思う間もなく西空にしぞらおびただしい爆撃機のよくかさなり合って真暗まっくらになった。
そして嵯峨さがから内野方面へよくをひろげ、その本陣を神祇官じんぎかん(太政官の一庁)附近において、東南遠くの六波羅の府にたいし、すでに戦闘態勢に入ったということであった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よくを左にかたむけるや、たちまち急降下状態をもって、「鉄の水母」の真上におそいかかっていった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金色こんじき大鳳おおとりが屋根によくをひろげている鸞輿らんよともよぶあの御輿おんこしである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なおして、それから改造するんだ。よくを、ロータリー除雪車のようになおし、それから台に車を
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それからよくと翼とのあいだをするりとすりぬけたと思ったとたんに、かれのからだは艇をはなれた。と、かれのからだは平均をうしなって、くるくると風車のようにまわり出した。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彗星号の形は、胴の両側によくがあり、その翼にはそれぞれ大きな噴射筒がついている。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういっているうちに、あやしい鳩は弾丸のように、そのよくにぶつかりました。
電気鳩 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ロータリーのよくは、新造しなくてはならないので、ちょっと材料に困った。しかしそれも、木の板に、空缶あきかんのブリキ板を貼り、そのうえに、こわれた金具かなぐの中から、いいものをよって、取付けた。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)