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纒
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まとま
ふりがな文庫
“
纒
(
まとま
)” の例文
「へエ、百姓ぢやなし、商人ぢや無し、
纒
(
まとま
)
つた仕事はありません、精々使ひはしりと小用位のもので、あんまり呑氣で勿體ないですよ」
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
曲げられない
旧弊
(
きゅうへい
)
の家憲や、困難な事情も、どちらも可愛いい一人娘と、息子の為にと、曲げさせた上、やっと
纒
(
まとま
)
った両家の縁組なのだった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに又少し足して、十両二十両と
纒
(
まとま
)
った金が出来たから、支度をして相当の処へ縁付けたいと思って居るのじゃ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この三つの方法は、
何
(
いず
)
れを前にし、何れを後にするという順序はない。最も理想的なことは、この三つの方法が相交錯して
纒
(
まとま
)
った効果をあげることである。
文章を作る人々の根本用意
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
老人の話は茫漠として取止めのない断片であって、統一した筋もなく
纒
(
まとま
)
りもなかったが、それには全体として現実をとびはなれた奇妙な美しさが匂っていた。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
それで相談が
纒
(
まとま
)
ツて、由三は殆ど蟆口の底をはたいて昔の女の肖像畫を購取ツた。そして古新聞で畫面を包むで貰ツて、それをブラ下げながらテク/\
歩
(
ある
)
き出した。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
富岡は立停つて、
纒
(
まとま
)
りのない小さい声で、「君は神経衰弱なンだよ」と云つた。さうしてまた早口に
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「銀塊があんなに沢山来るものですか。ありゃロシアへズーニェル・チェンモが法王の使節として行かれて、事が
纒
(
まとま
)
ったのでくれたのです。」「その品は何ですか。」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その代りに、いま売りに出している別荘が売れたら、少しは
纒
(
まとま
)
った金を分けてやるような約束をしておいたらしいのです。ところが漸っとその別荘が売れた。五年前のことです。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
強
(
し
)
いて試みてみることがあっても、考が
纒
(
まとま
)
らない。本を読んでも二
頁
(
ページ
)
も続けて読む気になれない。二人の恋の温かさを見る
度
(
たび
)
に、胸を
燃
(
もや
)
して、罪もない細君に当り散らして酒を飲んだ。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
バラバラの五体が一つに
纒
(
まとま
)
って行くのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
阿波屋の家は小さいが、よく
纒
(
まとま
)
つた、贅澤な家でした。格子づくりのしもたやで、深々と暮して居るのは、金貸といふ商賣のせゐでせう。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで三千円という大金を此の苦しい中へ持って来て、
纒
(
まとま
)
った大金が入るというのは実に妙だ、それも
未
(
まあ
)
だ君にお徳が有るのさ、
直
(
す
)
ぐ其の内を百金御返金を願う
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しかる
)
にお房は、彼の
財布
(
さいふ
)
には
底
(
そこ
)
が無いものと思ツて、
追續
(
おツつぎ
)
々
(
/\
)
々
(
/\
)
預算以外の支出を要求して、米屋八百屋の借を
拂
(
はら
)
はせたり、
家賃
(
やちん
)
の滯を
埋
(
う
)
めさせたり、
纒
(
まとま
)
ツて幾らといふ
烏金
(
からすがね
)
の
口
(
くち
)
まで拂はせた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そして、こっちの身がらは、一切承知だし、株の値段も、最初は百二十両を希望していたのを、弁政夫婦が、こぎつけて、
纒
(
まとま
)
ったら、七十五両に負けようとまで、内談はできているのだった。
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、ヒヨロヒヨロのペコペコで、一向
纒
(
まとま
)
りが付きさうもなく、主人の命を狙つたり、五萬五千兩に眼をつける、
大伴黒主
(
おほとものくろぬし
)
とも見られません。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
未だ
纒
(
まとま
)
りのつかぬ道連の小平と
盲人
(
めくら
)
のおかめ
母子
(
おやこ
)
の事などは、鹽原多助
後日譚
(
ごにちのものがたり
)
として、
尚
(
な
)
お追々お聞きに達しますことゝ致しまして、
一先
(
ひとま
)
ず此処で打切りに致します。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いつか豆菊の澄んだ心のなかに
纒
(
まとま
)
って分っていた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
併
(
しか
)
し、近頃は世の不景氣と共にそれさへ
不如意
(
ふによい
)
になり、到頭五左衞門の望むまま、お秋を奉公に出して、少しばかり
纒
(
まとま
)
つた金を貰ひ、それで
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先方
(
さき
)
でも子供が
欲
(
ほし
)
いと思ってるところなんでございますから、相談は直ぐに
纒
(
まとま
)
りまして、お米は越佐の養女に貰われ、夫婦も大層喜び、乳母をかゝえるなど大騒ぎでございます。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
チラと見たところは、小鳥のやうに輕捷で、小鳥のやうに可愛らしいとは思ひましたが、淺黒い顏と、紅い唇の外には
纒
(
まとま
)
つた印象もありません。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三年前から養子の山之助に店を讓つて、こゝの奧の隱宅に引つ込んだ山右衞門は、無用心さを考へて手許に十兩と
纒
(
まとま
)
つた金を置かなかつたのです。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
商賣はどうだ、——風雅の藥には何が良い——花見の相談はないか——と言つた
纒
(
まとま
)
りのつかない事を訊いて、平次に
促
(
うなが
)
されるやうに外へ出ました。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗太郎の言ふのは、何となく
纒
(
まとま
)
りがありませんが、それでも愚痴つぽい繰言の中にも、次第に筋道が立つて來ます。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
五兩や十兩の金と違つて、百兩と
纒
(
まとま
)
つては、家財道具を賣つても三十八所借をしても追ひ付かなかつたのです。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんなに溜め込む奴があるから、こちとらには、正月だといふのに、一貫と
纒
(
まとま
)
つた小遣ひが入らない」
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「盜りたいにも、その男は一兩と
纒
(
まとま
)
つた金を持つたことのねえ人間だよ。お前のやうな
玄人
(
くろうと
)
が狙ふやうな玉ぢやねえ。見當はその懷ろにある泥だらけな手紙だらう」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どう工面しても三百兩とは
纒
(
まとま
)
らなかつたので、兄には濟まないと思ひましたが、朝の忙しいところを狙つて、そつと藏の中に忍び込み、違つた鍵と釘で大骨折で金箱を開け
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二た月ほど前から
虱潰
(
しらみつぶ
)
しに泉屋一家を荒して歩く曲者、——どんなに要心を重ねても、風の如く潜り込んで、かなり
纒
(
まとま
)
つた金をさらつた上、
障
(
さへぎ
)
る者があると、恐ろしい早業で
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何んかの
手蔓
(
てづる
)
で田原屋から千と
纒
(
まとま
)
つた大金を
融通
(
ゆうづう
)
してもらひ、それで漸く家業は立ち直つたが、その恩があるから、田原屋の言ふことなら、どんな無理なことでも
否
(
いや
)
とは言へない
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小ばくちと女で身を持ち崩して居る鐵の懷中に十兩と
纒
(
まとま
)
つた大金があるわけはなし。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
多の市の非道と
吝嗇
(
りんしよく
)
は年と共に
募
(
つの
)
るばかり、到頭吉三郎とお濱の仲まで割いて、千兩の金が
纒
(
まとま
)
つたのを機會に、いよ/\この月のうちには、京都へ上ることに決めてしまつたのでした。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
纒
(
まとま
)
り相もない縁談でしたが、無理に割けば、相對死もやり兼ねまじき若い者の情熱に引摺られたのと、娘可愛さの與次郎の必死の運動が效を奏して、近頃になつて玉屋も漸くその氣になり
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香爐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの、遠縁の者が、養子になることに話は
纒
(
まとま
)
りかけてをりますが」
銭形平次捕物控:184 御時計師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「上總屋に金があればこそ、親類も知合もあの通り肩を入れてくれますが、何んにもないと判つたら、どうなることで御座いませう。それに折角
纒
(
まとま
)
りかけた縁談も、お氣の毒なことに駄目になります」
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「幸ひ、五兩と
纒
(
まとま
)
つた金に、めぐり逢つた
例
(
ためし
)
もあるめえ」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
富崎佐太郎が、金森家へ返した金がいくらか、確かな事が知り度いんだ。浪人物の工面なら
多寡
(
たくわ
)
が知れてゐるが、若し三千兩と
纒
(
まとま
)
つてゐたら、すぐ飛んで來てくれ。——佐太郎自身で持つて行つたか、使の者を
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
纒
漢検準1級
部首:⽷
22画
“纒”を含む語句
纒頭
足手纒
半纒
袢纒
附纒
絆纒
印絆纒
長半纒
長袢纒
纒繞
印半纒
纒綿
一纒
取纒
半纒着
付纒
着纒
纒綴
纒衣
絆纒着
...